angelica

誰もいない部屋―生者と死者のはざまで―のangelicaのレビュー・感想・評価

4.2
【あらすじ】
海軍士官の大切な息子を事故で失ったイスラエルの夫婦が、遺体から息子の精子を採取。卵子の提供と代理母を手配し、息子の死後に孫をつくろうとした衝撃の法廷闘争(配信元から引用)
【感想】
子を亡くす悲しみはどれだけだろう、子の生命が受け継がれるならなんでもする・・!!となるだろうな・・
夫婦に3年間密着。この夫婦はジョークも飛ばし理性的な風に見える。娘やペットとなごんだり、弁護士らと裁判の戦略を練ったり、が時に何かにひどく執着したり。とにかく見入ってしまう60分だった。

あと犬がめっちゃ可愛い🐶

ニューズウィークに記事あり、読んで納得。(記事自体はネタバレになります)
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2018/03/post-9757.php

「イスラエルには、戦場に赴く前に自分の精子を凍結保存する男がたくさんいる。息子や夫の死後に精子を採取して保存する遺族も増えている。」
「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の悲劇をくぐり抜けて生まれたイスラエルでは、命を次の世代につないでいくことが一段と重い意味を持つ。そのためなら人工的な手段に頼ることも」
「養子縁組なんて、この国ではほとんどあり得ない」「大事なのは自分の生物学的な系統を保つことだから」

イスラエル、そうかそうだよね・・

"亡き息子の精子で孫を" これはほぼ問題なくて配偶者が出産し育てる例は多いそう。
が、本作の夫婦は、産まれた子「だけ」を引き取って自分たちが(孫として)育てたいというのが希望なの。母親が子を連れ遠くへ去ってしまうような事が絶対に嫌だからだと。
それを禁止する国側、当初の言い分は 祖父母や親戚はいても"親"が居ない子を作ることがダメ、であった。

色々な考え方がある・・倫理に基づいて、なんて簡単には言えない。時代や地域歴史で変わっていく。
angelica

angelica