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攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争のシネラーのレビュー・感想・評価

4.0
Netflixで配信された
「攻殻機動隊 SAC_2045」のシーズン1
を纏めた総集編映画を初鑑賞。
Netflixでの配信だった事もあって
内容自体も初見ではあったが、
刷新されたアニメーションでも
魅力的な世界観と面白味は健在で良かった。

物語は紛争が絶えない2045年、
ポスト・ヒューマンと呼ばれる
超人的能力を持つ人間が現れ始め、
公安9課の面々が再集結して
事件を追っていく内容となっている。
単純にその超人達の事件を捜査する
だけでなく、
その中での戦争経済や
大衆が魔女狩りのように人を抹殺する
システムの存在が描かれており、
相変わらず近未来な世界観であっても
現実的な問題を取り上げている
内容なのは良かった。
シリーズで初となる
3DCGアニメとして製作されており、
それによって従来キャラクターが若く
見えるような印象もあったが、
義体化のある世界観でもあるので
そこまで気になる事なく、
タチコマに戦闘機といったメカ
やシリーズお馴染みの光学迷彩の
描写がとても相性良く思えた。
アクション場面においても、
モーションキャプチャーを使用する事でCGの利点を活かしていると感じられた。
「攻殻機動隊 S.A.C.」から10年経過し、
それまでにキャストも変更された
「攻殻機動隊 ARISE」も製作されたが、
本作でオリジナルキャストが
再集結しているのも嬉しい。
物語的には起承転結の承までと言った
ところで終えられているが、
それでもこの先の展開や伏線への
興味等や面白味もあるので、
尻切れトンボな印象も薄くて良かった。

今後の展開で実際の社会問題にも
共通する問題が言及されるかもしれないが、
現時点ではその社会的テーマ性は
過去作と比べて弱いと思えた。
それでいてポスト・ヒューマンの設定が、
過去作の笑い男やクゼに傀儡廻といった
キャラクターと比べて単純な
バトル物のキャラクター色が強く、
今後の期待値はあるものの
違和感がある部分だった。

気になるところで
物語が中断されているだけに
今後の展開や伏線回収が楽しみだが、
本作の世界観が既に現実味を帯びている
のが嬉しくも恐ろしくもある。
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