岩男

オーディブル: 鼓動を響かせての岩男のレビュー・感想・評価

3.9
🤟🤟🤟
痺れる
今の自分が欲していた言葉があって、勇気とかやる気とか前向きさみたいなものを貰えた
アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞ノミネート作品

アメフト強豪校のメリーランドろう学校
その学校内の雰囲気が、一つの街みたいな温かいコミュニティだった
そこで感じたのは、何かひとつ自分と同じ境遇や困難を抱えた人達の集合体の中では、争いがないのかもしれないということ
その集合体の中にいれば、困難やハンデという意識などなく、いわゆる「普通」だから
大体起こりうるイジメの原因って「自分とは違う」とか「変なやつ」みたいな違和感からくるんだろうなと改めて感じた

主人公アマレの親友テディの自殺
テディは失礼な言い方かもしれないが、自分が知る限りマイノリティの最上級
黒人でありながら白人夫婦の養子に迎えられ、耳は聴こえず、同性愛者
ろう学校から一般校に転入したが、イジメの対象になり耐えきれず自殺
自分の尊厳を保つための自殺だったのかな

ろう者にとって"振動"はとても重要であることが分かる
彼らにとっての息遣いや合図みたいなものなのかな

アマレは家族で唯一耳が聴こえない
「もちろん孤独は感じる。健聴者の中にいると、よそ者に思うことがある。」
手話でのこのセリフを聞いて、やっぱり頭によぎったのは〈コーダ あいのうた〉のお母さんが産まれてくる子に対して抱いていた「耳の聴こえない子ならいいのに」という考え
その逆サイドから見たこのセリフに、映画を観た時には若干の違和感を感じたコーダのお母さんの考えの真意を汲み取ることが出来た気がする

アマレとガールフレンドの「私たち付き合ってるのかな?」の意識の確かめ合いの場面、何か可愛かったな
岩男

岩男