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かもめ食堂のアイのレビュー・感想・評価

かもめ食堂(2005年製作の映画)
3.6
群ようこが本作のために書き下ろした小説を、『バーバー吉野』の荻上直子監督が映画化。

主人公サチエは単身フィンランドに渡り食堂をオープンした。この設定だけで、きっと日本で何かがあったのだろうと想像できる。どこか遠くへ行きたいと世界地図を開き、目を閉じて指を差した場所フィンランドへ旅行にやって来たミドリにも何かがあったのだろう。両親の介護から解放されてフィンランドに遊びに来たマサコは、自分の幸せや楽しみはすべて我慢して生きてきた女性なのだろうと想像した。

人は人の数だけ事情があり何かを抱えているし、若い時節を過ぎれば寂しさや孤独を少なからず感じているはずで。そういうありふれた女性たちを淡々と描いた映画「かもめ食堂」。味わい深い作品でした。女性3人の距離感が大人でよい。訳アリ臭がプンプンしても尋ねることはせず、寄り添うことでお互いを尊重し、労わりあっている。この距離感が大事だと思う。穏やかで、温かい映画だった。癒された。
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