千年女優

わたしは最悪。の千年女優のレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.0
30歳を間近にしたノルウェー在住の女性で、優秀な成績を修めて医学部に進学しながら移り気で心理学に転向したと思えばしばらくした現在では写真家を志望するユリヤ。売れっ子のコミック作家アクセルと交際して同棲中の彼女が、年の離れた彼との間に溝を感じ始めた頃に同世代のアイヴィンと出逢って恋に落ちる様を描いた恋愛映画です。

音響技術者の父や遠い親戚のデンマーク人監督ラース・フォン・トリアーの影響で監督の道を志したノルウェー人監督ヨアキム・トリアーがエスキル・フォクトとの共同脚本で制作した2021年公開作品で、カンヌ国際映画祭に出品されると話題になった前作『テルマ』以上の称賛を集めてアカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされました。

様々な価値観が生まれては乱立する現代の葛藤を描いた物語で、あくまでも理論上に過ぎない自由と可能性を代償に責任と限界が重くのしかかる多様性時代の人の有り様を描きます。それでも主人公にアグレッシブな女性を据えることで決して後ろ向きな帰着とはせず、振り回されてもめげずに生き抜く様をエネルギッシュに表現した一作です。
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