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スターダストのRockoのレビュー・感想・評価

スターダスト(2020年製作の映画)
3.0
Filmarksさんオンライン試写。
デヴィッド・ボウイの最も有名な別人格“ジギー・スターダスト”を生み出すきっかけとなった舞台裏やキャリアのターニングポイント、それに関わる周囲の人々と共に知られざるデヴィッド・ボウイの内面や苦悩を描いた作品。

監督自身が伝記映画やベストアルバムのような映画は作りたくなかったと公言している通り、スターになる前のボウイ自身に焦点を当てた地味な作品になっている。

作中でデヴィッド・ボウイの楽曲は使用されておらず、この作品のボウイより前となる1969年に発表した『Space Oddity』の楽曲名や著名なイギリスバンド名、ボウイの友でありライバルであったT・レックスのマーク・ボラン(あまり似てない)が登場したり 、Velvet Undergroundや画家のアンディ・ウォーホールとのやり取りが小ネタとして出て来るので、音楽関連作品から得られる情報映画として観る分にはロック好きの私は雑誌を読む感覚では楽しめた。

作品の内容としてはマネージャーとの旅路は割と面白く、デヴィッド・ボウイの苦悩は十分伝わって来るにもかかわらず、肝心のターニングポイントの見せ方がが弱く、突如成功したかの様に描かれているので寝ていたのかと勘違いして早戻しで再度確認してしまった。

デヴィッド・ボウイを演じたジョニー・フリンは綺麗な顔立ちではあるけれども、本人の持つカリスマ性や中性的な魅力は十分に表現しきれておらず、本編で最も伝えるべきであろう自己の外的表現である”ペルソナ”のきっかけはわかったものの、自身の心理変化についてはあまり伝わっては来なかった。
元々、日本やパントマイムが好きだったデヴィッド・ボウイの変化に挑む勇気よりもマネージャーの人の良さの方が強く伝わって来てしまい、スターになるには本人の才能だけでなく、周りの人間の支えが重要なんだなぁと改めて実感。

偉大なアイコンであるデヴィッド・ボウイの24才時のUKロックシーンとイギリスのミュージシャンがアメリカで成功するにはこんな苦労があったよと教えてくれるような作品なので、地味な音楽ドキュメンタリーが好きな人なら楽しめるかも。
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