てばさき

ベネデッタのてばさきのネタバレレビュー・内容・結末

ベネデッタ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

中世という時代の不合理さ陰鬱さ残酷さを特異な女性の生き様を通して鮮烈に描いていて、強いインパクトがありました。

主人公は6歳から修道院という閉ざされた世界で生きるうち育まれた野心に突き動かされた少女なのか、それとも凄まじい誇大妄想狂なのか…もしかしたらその両方なのかも?

感情移入は不可能なタイプの主人公で、輝くカリスマ性を備えてはいるけど端々で神の言葉を都合よく騙ってもいるので、演技を疑う周りの気持ちはよく分かってしまう。
幻視の内容も陳腐で滑稽なものに思えるし。

しかし聖痕として両手両足脇腹に重傷を負いながらも異様に早く回復しているのは、自作自演だけでは説明がつかない。翻弄される。

聖痕て奇跡の中でも見た目にかなりグロい寄りですが、拷問器具まで出てきたのはリアルに震えました。それも特に女性は知識だけで軽くトラウマになりそうな類のもの。
R18指定は決して女同士の濡れ場だけが理由ではありませんでした。

深い傷を負って寝込んでいた修道女は、自傷癖が理由なのか、それとも誰かに付けられた傷が治らないのか、そこだけあまりよく分からないまま。

石造りの荘厳な修道院とそこで暮らす修道女の群れが、白い光に満ちた飾り気のない礼拝堂に集って厳かに聖歌を歌うシーンはとても美しかった。
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