バナバナ

誰かの幸せのバナバナのレビュー・感想・評価

誰かの幸せ(2020年製作の映画)
3.7
レアは洋服店の販売員で、モールの客を観察し、自分の小説に生かしてきた。レアは10歳以上年上のマルクと同棲中だが、マルクは友人の前でレアのことを「決断力がない」「優柔不断」など言ってしまう様なモラハラ気味の男。
そのマルクの友人カリーヌ、フランセス夫妻も、レアをただの販売員だと下に見ている。

レアが小説を執筆中と知った友人夫妻は、私たちの方がレアより芸術の素養が高いと、カリーヌは小説を、フランセスは音楽活動をすると言い出すが、簡単だと思っていた小説が全く進まず、レアの方がさっさと作家デビューまで決まってしまい、特に面白くないカリーヌ。
どうしてもレアの脚を引っ張りたいのが、言葉尻にもすぐ出てしまう。

こんなに人の観察眼が鋭いレアが、どうしてマルクと付き合っているのか(さっさと別れればいいのに)、
休日に会う友人がマルクの友人のカリーヌ夫妻で、同世代の友人は居ないのか?と思ってしまった。
モラルハラスメントという言葉の発祥の地だけあって、マルクの傲慢、不躾ぶりは観ているこちらも腹が立つし、
カリーヌ、フランセス夫婦も、リアが成功し出すと陰で「彼女は傲慢になった。自惚れている」と、これまで散々本人に失礼な事を自分たちが言っていたくせに、言い出す始末。
まあ日本でも職業で小バカにする人や、下に見ていた人が成功すると急に貶しだして離れて行く人は居るので万国共通なのだが。
まだ自分で敗北宣言して、負けてる自覚ができるのはフランス人らしい正直さなのかな。

レア以外のキャラクターはムカつく人たちなので、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のオストルンド監督作品かと思う程だったが、本作はフランス人監督が自ら脚本も書いているんですね。
そのせいか、レアが人間離れした良い人過ぎだし、ラストもオストルンド監督よりは優しい終わり方でした。
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