磨

ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言の磨のレビュー・感想・評価

3.7
ナチス支配下のドイツ・第三帝国に参加したドイツ人高齢者たちの証言を記録したドキュメンタリー作品。

自身の母親がユダヤ人難民であったというルーツを持つイギリスのドキュメンタリー監督ルーク・ホランドは、2008年から10年の歳月をかけて、ナチス支配下のドイツ“第三帝国”に参加した強制収容所のエリート士官、国防軍兵士、軍事施設職員、果ては近隣に住む住人までに至るインタビューを敢行。

ルーク・ホランド監督自身は本作完成直後の2020年6月に残念ながら癌で亡くなったというが、被害者側ではなく加害者側の証言から成るアーカイブ映像は本当に貴重。楽しそうに活動をするヒトラー・ユーゲントやドイツ女子青年団の映像が、なんともいえない余韻を残す。


実は今年一番期待していたドキュメンタリーだったけど、想像通り意義のあるドキュメンタリーで良かった。
少しイヤらしいインタビューもあり、ちょっとだけ残念感は残ったけど、アウシュヴィッツの生存者の言葉から始まる映画冒頭の一文こそ、僕が一番聞きたかった言葉だった。


ー怪物は存在する。

しかし少数ゆえに真の危険とはならない。

むしろ危険なのは普通の人間だ。

何も疑うことなく信じ込むー


ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が開始された今年だからこそ…というのがある意味模範解答なんだけど、私個人としては今の日本に向けた言葉としか思えないのです。
磨