温泉たまご

コーダ あいのうたの温泉たまごのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5
2022-5

海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。秘かに憧れているマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず…。



とても優しくて愛に溢れるお話だった。
愛している家族だからこそ、どんなときでも支えたい・支えて欲しいと願うし、自分が支えることができなくなったら?・支えてくれなくなったら?と不安になる。
ろう者のなかでひとり聴者として生まれたルビーの苦しみや葛藤も、ルビーを思う父親・母親・兄のそれぞれの苦しみや葛藤も、すべて愛しくてもどかしくて複雑だった。

冒頭、ルビーの歌声に一気に引き込まれ、話が進むにつれて彼女の境遇にどんどん感情移入していった。codaの意味は劇中で語られるけど、彼らが抱える問題はたくさんあるんだろうと思わされた。
嫌だなって思うことももちろんある、でもそれでも助け合いたい。
“人は、お互いを必要としている”

ルビーだけじゃなく、彼女の家族もそれぞれ想いがあるわけで。
「家族の犠牲になんてなるな」
「分かり合えるか不安だったの」
それを伝えるのにどれだけ勇気がいっただろう。

ろう者を演じているのは、本当に聴覚障害を抱えた演者さんだとのこと。
最後のお父さんの“発した”言葉がとてもあたたかかった。ラストのハンドサインの意味を調べてまた、涙。

コンサート、オーディションのシーンも大好きだけど、お父さんへ歌ったあのシーンが一番好き。