YYamada

コーダ あいのうたのYYamadaのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5
【#戴冠!アカデミー作品賞】
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
コーダ あいのうた (2021)
◆主人公のポジション
4人家族ただ1人の健聴者の高校生
◆該当する人間感情
 相手、感傷、希望

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
・新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが…。

〈見処〉
①聞こえない耳に届く最高の歌声が
世界の色を塗り替える——
・『コーダ あいのうた』(CODA)は、2021年に製作されたヒューマンドラマ。2014年のフランス映画「エール!」のリメイク。
・タイトルの「CODA」は「Children of Deaf Adults= ⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども」のこと。
・家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いた本作は、NHKもスポンサーを務め、アカデミー賞の前哨戦ともいわれるサンダンス映画祭で史上最多4冠に輝き、Appleが同映画祭史上最高額となる2500万ドルで落札されたことも大きなニュースになった。
・主人公のルビーには、大ヒットTVシリーズ「ロック&キー」の新鋭エミリア・ジョーンズ。共演は『シング・ストリート/未来へのうた』で主演を務めたフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を演じるのは『愛は静けさの中に』のオスカー女優マーリー・マトリンら実際に聴覚障害を持つ俳優たちがキャスティングされてあおる。監督は「タルーラ/彼女たちの事情」のシアン・ヘダー。
・2022年3月に開催された第94回アカデミー賞では、本作は作品賞・脚色賞・助演男優賞(トロイ・コッツァー)が受賞を果たしている。

②劇中を飾る名曲の数々
本作の魅力を大きく押し上げる、メロディーとメッセージに富んだ名曲たち
・デヴィッド・ボウイ
「スターマン」
・エタ・ジェイムス
「Something's Got A Hold On Me」
・アイズレー・ブラザーズ+
「It's Your Thing」
・マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル
「You're All I Need To Get By」
・ジョニ・ミッチェル
「青春の光と影」

③結び…本作の見処は?
「新作スパイダーマン」よりも感動を与えてくれたヒューマン・ドラマ
◎: 人間力に溢れる素晴らしきキャラクターたち。ハンディキャップを乗り越え、明るく逞しく支え合う家族。言葉を超える彼らの家族愛が、鑑賞者を爽やかにさせてくれる。
◎:「『サウンド・オブ・メタル』のように数分に渡る完全無音なコンサート会場」「娘の声帯に手を当て、彼女の才能を確信する聾者の父」「耳の聞こえない家族を前に、力強い歌声とアメリカ手話で表現されたジョニ・ミッチェルのバラード」——聾者の視点に立ったラスト20分の「三重奏の演出」は、鑑賞者全員を泣かせるであろう、大きな感動を与えてくれる。
○: コメディを含む本作演出ながら、聾者の家族が社会生活を共にする苦難をしっかりと鑑賞者に伝えている。
○: 作中に登場する指導者のV先生。厳しさの中に優しさあり。ラストのピアノ伴奏は無言のメッセージの名シーン。
▲: ルビーの母親の価値観に対する違和感は自分が健常者であるから故だろうか?鑑賞者のみなさんのご意見を伺いたいと思いました。

④本作から得られる「人生の学び」
・家族の明るい未来は、自身の幸せに勝る。
・言葉を発せなくとも、感謝の気持ちは伝えられる。
・ルビーの母親の気持ち=多様性を重視する現代社会では、自らの価値観をフラットに考えるべき。
YYamada

YYamada