千年女優

コーダ あいのうたの千年女優のレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5
両親と兄が聴覚障害を持つ漁業一家に育った高校生ルビー・ロッシ。入学時に喋り方をからかわれて以来学校で浮いた存在の彼女が、想い寄せる同級生を追って入部した合唱部でその才能を見初められるも耳の聞こえない家族の理解を得られないまま、苦境に陥る家業のため唯一の健聴者として頼られる重圧を感じる様を描いた青春ドラマです。

セザール賞席巻のフランス映画『エール!』をシアン・ヘダーが子役出身のエミリア・ジョーンズを主演に『シング・ストリート』のフェルディア・ウォルシュ=ピーロや実際の聴覚難のキャストでのリメイク作品で、低予算映画ながら老若男女に愛される物語でサンダンス映画祭を沸かせてAppleが映画祭史上最高額で配給権を獲得しました。

原作に敬意を込めて骨子は忠実に魅力的なキャストと演出でブラッシュアップに成功しています。音楽は単なる音の連なりに過ぎないか。そんな問いに本作は、音楽が真に伝えるのは「音」ではなく「想い」で、メロディが耳響かずともビートで心震わしうると答えます。その方程式は音楽のみならず家族や人間関係にも通じる美しい証明です。
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