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ボーはおそれているのtorumanのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8
とても難解。
上映後、前の熟年夫婦が「全然分からない…」呟いていました😅

怪死した母の葬式の出席に向かうボー(ホアキン・フェニックス)の悪夢の道行を描いたジャンルレス映画です。

アリ・アスターは、色々な作品の暗喩をあえて見せる監督です。
自分が感じたのは、
全体のベースは『トゥルーマンショー』。
ルックは、『ブリキの太鼓』〜『鳥』『ゾンビ』〜『インランド・エンパイア』〜『オズの魔法使い』〜『未来世紀ブラジル』…まだまだ沢山あるでしょう。

難解な作品ではありますが、感じる作品として捉えると魅力的なシーンの連続です。
特に冒頭のSEは素晴らしい!
映画館の音響ならではの体験です。
また、途中で挟まれるアニメーションは『オオカミの家』の監督のものです。
この作品の独特の作風に色を添えています。

今まで以上に賛否が分かれそうな作品ですが個人的には好きです。
再見して、空白のパズルピースをはめていきたいです。

ここから先は内容のネタバレ含みます。




自作の『ヘレディタリー』『ミッドサマー』からのテーマである家族の在り方を今回も描いています。

観た後に再考していくと…
母の庇護、神のような支配が全編に渡り描かれている事を感じます。
特に『ヘリディタリー』の祖母と家族の関係とは同義に感じました。
母の胎内からの誕生に始まり、胎内への回帰に終わる水の描写。
絶対に母から逃れられないボーの一生…

アリ・アスター監督は、この作品を自身の母に捧げていますが、2人の家族関係はどうなっているんだろう…
気になります。

因みにアリ・アスター母は、ラース・フォン・トリアーやミヒャエル・ハネケの作品が好きなんだそうです。

この母にしてこの子あり
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