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ラシーダのhoshikazukanjoのレビュー・感想・評価

ラシーダ(2002年製作の映画)
5.0
鏡に映るのは口紅を塗り微笑む快活な女性ラシーダ。それがものの十分後には顔面蒼白、虚な瞳をした姿になる。常に死の危険に晒され続ける内戦中のアルジェリア。「自分の国にいるのに亡命者」という言葉が痛切に響く。本当に怖い、悲しい。ラシーダの身体の震えがスクリーン越しに伝わってくるほど。観ていてすごく辛かった。でも本っ当にこの作品を観ることができて良かったと思う。アルジェリアでは上映できなかったらしいけど全世界必見作品。女性は暴徒たちから狙われ続ける。歩いてるだけで暴力的な眼差しを向けられる。でも女性同士の視線の交錯はあたたかかった。唯一ほっとできる瞬間。誘拐された女性が自力で脱走してきたとき、まわりの女性たちが自分達のヒジャブをその子にそっと掛けてあげる。まるで優しく抱きしめるように。



私も昔怖い目にあった時助けてくれたのはいつも見ず知らずの女性たちだったことを思い出した。いや、忘れたことなんて一度もないのだけど。この作品を観ながら、非力な私に何ができるだろうかとずっと考えていたけど、まずは相手が誰であろうと傷ついてる人がいたら手を差し伸べてあげることかもしれないと思った。かつて助けてくれたお姉さんたちのように……
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