NAOKI

スプートニクのNAOKIのレビュー・感想・評価

スプートニク(2020年製作の映画)
3.6
ジャケ写詐欺?

それがどうした?
僕たちは長い間それと戦ってきたのです。


子供の頃…珍しく親がオモチャを買ってやるなんて言うからこんなチャンス滅多にないぞ〜と売り場で目を皿のようにしてオモチャを探す!
ロボットのプラモデルをゲット!
箱には怪獣と戦うロボットの勇姿がリアルな絵で描かれてる…壊れるビル群や取り囲む戦車まで丁寧に描かれていて臨場感サイコー!

家で出来上がったプラモデルを前に呆然と座るおれ…
プラモデルは上手くできた…それはグレ一一色の直立不動のロボット…
あの箱に描かれていたカラーリングも手に持ったカッコいい武器も振り上げだ腕の可動も何もないただの灰色のプラスチックの人形…


「スプートニク」

ロシア製SF映画…
このジャケ写があまりにも内容と違いすぎるとここで話題になってますが…(笑)

何を隠そうこのおれもジャケ写見るなりレンタルしてきた一人…

確かに中身を観てビックリ!

ジャケ写詐欺なんて慣れてるつもり…
ここに写ってるヘリや軍隊が出てこないどころか後ろの怪物も下手したら出てこない…なんてこともいっぱい経験してる。この女の人が主役じゃないなんてのもよくある話…

胸の谷間は見せてくれなかったけどちゃんとこの女性が主役だし軍の施設が舞台…ヘリも並んでるのが見えたよ!もちろん目のいっぱいあるエイリアンも…大きさとか質感が少々…でも嘘じゃない(笑)
そこまで想定しててなんで驚いたかというと映画のジャンルというかテイストがまったく違ったから!

SFアクションではなくすごく静かでなかなかに深いテーマのまるでアート映画のようなSFだったからです。ゴア描写も血飛沫もあったけど…

ロシア独特の共産圏の味気ないコンクリートの建物と荒野…まるで褪色したカラー映画のような沈んだ色合い…
登場人物には華がなく辛気臭いストーリー、面白かったですよ。
結構いい映画だと思いました。

それにしても!ジャケ写!
観終わった後にまた眺めてもすごいです(笑)

「人類は〝ヤツ〟に捕食される」

これはうそ…「人類」を「アンタ」に変えると良いかな?

「全米大ヒット!SFサバイバル・アクション大作‼︎」

これも多分うそ…

「全米SFオタクにスマッシュヒット!共生エイリアン地球でのサバイバルガイド」ってとこかな?

「恐怖の味」が好物という設定は素晴らしかった!

ミシェル・ロドリゲスばりのタンクトップも残念ながら嘘でした…でも確かに巨乳ってとこが切なかった…


さて…なんでこんなことになったのか?

おそらくどこかの広報担当がこのジャケ写を作ったとして…この人はこの映画を見てないんじゃないか?っておれは最初思ったのだけど…そうじゃなくて実はこの映画を気に入ってしまってみんなに観て欲しくなったんじゃないのか?

だってこの映画をリアルにジャケ写に表現してもこんな辛気臭いSF誰も観たいと思わない…と考えた…

そこで嘘だろうがなんだろうがみんなが思わず手に取るジャケ写を考えたんじゃ…?

現におれは引っかかった(笑)
だけど良い映画だった。



僕は布団に潜り込むとプラモデルの箱絵をもう一度眺めた。見れば見るほどカッコいいなぁ。この箱も大事にとっとこ…それから出来上がったロボットを天井にかざしてまるで飛んでいるようにゆっくりと動かした。
僕はそんなにがっかりしたわけじゃないんだ。
箱の絵と中身が違うことくらい知ってる…
僕のロボットは僕の想像の中であの箱の絵のように動くんだ!

僕はいつの間にか寝てしまってた…そしてロボットがあの箱絵の姿で活躍する極彩色の夢を見たのでした。


…というわけでこの映画も悪くなかったがこのジャケ写通りの映画の内容も妄想してみる…ヤベェやっぱり面白そうだ(笑)
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