薔薇

クライ・マッチョの薔薇のレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
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生ける伝説クリント・イーストウッド。最近だと『15時17分 パリ行き』の出来の衝撃、奇跡は忘れられない。この歳になっても話題性ガン無視でやりたい事やってる姿は本当にカッコいい。

今回の『クライ・マッチョ』はかなり落ち着いた作品ではあるが彼にしか出来ない映画にも見えた。描かれるのは”逃避行”であるがそこまで激しくはなく、もはや牧歌的な場面の連続。

主人公が馬と戯れ、女に惚れられ、少年の心を解く。物凄く素朴なストーリーだがただ一点だけこの映画にしかない要素がある。それが何を隠そうイーストウッドが主演という点。

彼のフィルモグラフィーを知っている人間がこの映画を見ると一場面一場面に魅力が付与されていく。とてもずるい映画だ。特に馬に乗る場面なんかは久々すぎてすこぶる嬉しくなる。

馬、女、少年、カウボーイハット、運転。生ける伝説すぎてどのシーンにも隠し切れないほど”イーストウッドがいる”というか事実が画面に滲み出ている。そこまで経歴を多くは語らなくてもこの爺さんが”マッチョ”であるのが伝わるし、人生経験がとてつもないのが分かる。とてもずるい映画だ。

そのずるさを見れるだけでも幸せすぎた。生ける伝説としてのイーストウッドがいる時代に見れて嬉しい。
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