矢吹健を称える会

流血の谷の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

流血の谷(1950年製作の映画)
4.0
 「折れた槍」さんの話。『折れた矢』が今ひとつだったので、まあインディアンさんも大変だとは思うけどサ……などと斜に構えて見始めたのだが、いやホント失礼しました、もう冒頭のバーのシーンから全然格が違う、700馬身くらい引き離してる感じだ。ロバート・テイラーが黒塗りでインディアンとはこれいかにとかそんな無粋なツッコミが、背後でダイナマイトが爆発するショットで雲散霧消した。
 容赦ないキャラクター造形、悲劇的な展開、ダイナミックな画作り。すごいっす(個人的な好みを言えば、もっと主人公は、少なくとも序盤は「アメリカの価値観」に従っていてほしかったが)。ヒロインの輪郭が滲むアップショットにもゾクゾクさせられる。撮影はジョセフ・H・リュイス『暴力団』で有名なジョン・オルトン。こういう映画があるんですね……。