いち麦

カラーパープルのいち麦のレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
5.0
舞台版ミュージカルを映像化した作品だが、スピルバーグ版(1985年版)と基本的には全く同じ展開。製作者の一人でもある御大へのリスペクトからかスピルバーグ独特のユーモラスな演出を1985年版からそのままトレースしたような場面もあった(ちょっと心が萎む)。ただ、細部には省略されたり変更されたりした箇所も多く興味を引いた。ソフィアの変容描写はスピルバーグ版の方が濃くて圧倒的に良かった一方、アルバート(ミスター)の変容については今作で大幅に描写追加、補足され分かりやすくなった印象をもった。
さて、ミュージカル映画として一番肝心な処といえば何といっても楽曲。これが素晴らしくて今作オリジナルの楽曲も加わり歌唱とダンスの場面には大満足。特にバラード曲が魅力的。セリーとシュグのデュエット曲〜“What About Love” では歌手設定のシュグ(タラジ・P・ヘンソン)以上に歌手ではない筈のセリー(ファンテイジア・バリーノ)が素晴らしい歌声を載せてくるので思わずニンマリしてしまった。いや流石に出演者はみんな歌が上手く聴かせてくれる。自分の好きなジョン・バティステは単なるピアノ奏者ではなく、しっかりシュグの夫役で出演していて嬉しかった。
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