みぞ

カラーパープルのみぞのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.7
試写にて。
広く観られてほしい作品であるのは前提とした上で、その価値を真に味わうには観る側の補足が強く要請される映画になってしまった。
ミュージカルとしても、ナンバーどれもいい曲なのは間違いないが、耳に残り、作品を代表するような、絶対これという曲が無いのがやはり残念。ブラックミュージックで構成される中、最後だけやたら白っぽいのは気になるが………とはいえこれらはBWの功績。
どれもいい曲だからこそどれも削れずに盛り込んだ結果、曲終わりは毎度ブツ切り、物語の中心となるべき人物たちの表現は薄っぺらくなってしまったように感じる。
ステレオタイプとそれからちょっと外れる部分提示すればOK、のような軽さ。
虐げられた人生に更に要求されるラストの展開も不満。
映画を見終わってキャラクターとして印象に残っているのが、曲を持たないからこそ演技だけで存在感を出している憎むべき男達なのは皮肉。
観客が各々で持ち帰って咀嚼する甲斐がある、というよりは、隙間を拾って"あげる"ことでやっと本来の色が見えるかも。

けどもっと脱色されるかと思っていたクィアネスと「私達は似たもの同士」が残っていたのでもう私に言える事はない。
でもH.E.R.の歌唱少なすぎ勿体ね!とは思う。カメオの配置は最高。
あとバレンタインの時期に公開なの最高にロック。みんなでカカオに想いを馳せよう。
後光のようなネティの帽子は意図的と思うんだけどどうかな。
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