MasaichiYaguchi

ドリームズ・オン・ファイアのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
加藤ミリヤさんや椎名林檎さん、マドンナなど数々のアーティストのバックダンサーを務め、モデルとしても活躍する仲万美さんの映画初主演作は、ダンサーになることを夢見て地方から上京してきたユメの、歓楽街の闇やアンダーグラウンドの人々も交えて傷付きながらも奮闘する様が、正に「ダンス・ダンス・ダンス」の熱量の高いキレッキレのダンスと共に描かれていく。
本作には、仲万美さん以外にも舞踏家として活躍する麿赤兒さん、ダンスカンパニーBATIK主宰の黒田育世さん、その他、世界で活躍する日本のトップダンサーたちが多数出演している。
才能があっても、それだけで食べていける人はほんの一握り。
ましてや“業界”で名を成すには、才能だけでなく運や人との繋がり、特にバックアップしてくれる人々の力が必要だ。
地方から身一つで上京したユメには何も無く、その日の糧を得る手段も自ら見出ださなければならない。
本作では糧を得る場所として、歓楽街の様々な“お店”が出てきて興味深い。
そんな中でユメに寄り添い、夢への道を後押しする何人かの友人たち。
上京したばかりは孤立無援だったが、夜の仕事で嫌なことがあっても慰め、励ましてくれる彼女ら。
それでもプロのダンサーになる道程は厳しい。
終盤でユメにとって大きなチャンスになる大会が描かれるが、如何に今のダンスの世界がハイレベルになっているかが伝わってくる。
果たして彼女はチャンスを掴み、夢へステップアップしていけるのか?
本作は、いつ終わるか見えないコロナ禍にある今、夢に挑み続けることの素晴らしさを感じさせてくれる。