MasaichiYaguchi

ナウエルと魔法の本のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ナウエルと魔法の本(2020年製作の映画)
3.4
東京アニメアワードフェスティバル2021の「コンペティション部門 長編アニメーション」ノミネート作品。
本作はチリ製作の長編アニメーションだが、チリをはじめ南米で作られた作品は今まで観たことがなく、新鮮な体験だった。
上映後に本作のヘルマン・アクーニャ監督へのリモートインタビューがあり、監督の話によるとチリには小規模のアニメ制作会社が30~50くらいあるが、主にテレビアニメを製作していて、劇場向けの長編アニメーションは年間1本有るか無いかとのこと。
だから本作の製作に関し、チリだけでなくブラジル等の近隣諸国のアニメイターの協力を仰ぎ、プロジェクトチームを編成して製作したと話していた。
主人公の少年ナウエルは漁師の父親と海辺の町で二人暮らしをしているが、海が怖く船に乗ることも出来ないので苛められてばかりいる。
そんな或る日、自らのヘタレ振りを解決してくれそんな魔法の本を手に入れる。
ところが、その本を狙う闇の魔法使いに付け狙われる羽目になり、ここから彼と魔法使いとの戦いが幕を開ける。
本作はオリジナルストーリーとのことだが、如何にも王道ジュブナイルファンタジーという感じで、ナウエルの試練や困難を経ての成長を交えて冒険談が展開する。
最近の3DCGアニメ、劇画調や繊細でポエティカルな作画のアニメを見慣れた者からすると素朴な味わいではあるが、丁寧に作られていて懐かしさを覚える。
アニメ映画と言えば、ハリウッドや日本のアニメスタジオのものという印象が強いが、この頃、勢いのある中国アニメをはじめとして、他の諸外国にも斬新な作品もあるので、こういった機会を利用して新たな出会いを期待したい。