旅するランナー

MONSOON/モンスーンの旅するランナーのレビュー・感想・評価

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)
3.7
【ルーツを訪ねて】

最近注目している、アジア系男優ヘンリー・ゴールディング目当てに鑑賞。
いままでと違った彼を見ることができて、良かったような、そうでもないような。
まあ、俳優としての懐の深さは感じました。

6歳で難民としてイギリスに渡った主人公が、30年ぶりに祖国ベトナムに帰郷します。
冒頭の上から見る交差点をはじめ、ホーチミンの混沌としたエネルギッシュさをカメラが見事に捉えています。
これは、若者たちの静謐なたたずまいと対照的です。

父親が英国人、母親はマレーシア人の、ヘンリー・ゴールディング自身も、7歳からイギリスで育ち、20歳頃にマレーシアに自分のルーツを探すため帰国しています。
きっと主人公の感覚と重なる部分があることでしょう。

この作品は、ベトナム戦争や、その後の政治的混乱が背景として描かれています。
ベトナムの皆さんには、様々な経験や思いがあることでしょう。
そして、僕たちは、この映画を通して、過去の呪縛を乗り越えて、それぞれの道を生きていく若者たちの前向きさを感じることができます。