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Mr.ノーバディのペジオのレビュー・感想・評価

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
4.0
平日の昼間からご~ろごろ…あ~あ~俺にもロシアンマフィアがちょっかいかけてこね~かな~

「フォーマット」には信頼と実績があり、既に完成されたものなので、そこにどんなひねりやアイディアをぶち込んでくるかが大事なのですが、監督が『ハードコア・ヘンリー』のイリヤ・ナイシュラーと聞いて、「…ああ、そう。…観るわ。」ってなったよね
前作の全編POV演出のインパクトの陰に隠れて(…ってほど隠れてなかっ)たブラックユーモアと観客を飽きさせないアイディアのつるべ打ち
彼が手がけたMVとか観ると良く分かるが、多分「面白い人の殺し方」を常に考えてるタイプの人なんだと思う
思いっきりそれを披露できる仕事…「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした映画の監督」…多分世界一楽しい仕事だし、世界一クリエイティブな仕事だと思う

サイコパスと思うかもだが、おそらくはこういう歪んだ願望は「男」なら誰にでもある(そしてそれを実現できなくて悶々としている。)
実際この映画の主人公が「そういうタイプ」の人だ
類似作品での「主人公が殺人に至る動機」は「それなりの被害を受けたから」という観客がその虐殺に正当性を見出せるものだったのに対して、本作のそれは「ムシャクシャしてやった。誰でも良かった。」と相違ないものである
主人公は待っていたのだ…あんな殺し方、こんな殺し方、思いっきり「それ」を披露できる機会を…
そんな本作を観て「スカッとしている」方々がいるのが何よりの証拠ではないか?
(個人的には『半沢直樹』が流行る世の中って「病んでるな~」と思うのですよ。)

多分ね…『ジョン・ウィック』とか『ヒストリー・オブ・バイオレンス』以上に、『フォーリング・ダウン』に近い映画だと思う

敵のボスがチャーミングさもあって、少しマルコム・マクダウェルっぽい
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