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名もなき歌のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

名もなき歌(2019年製作の映画)
3.5
ペルー出身の女性監督メリーナ・レオンの長編デビュー作。インフレ、社会資本の未整備、貧困、全体主義とテロリズム、権力の腐敗といった社会問題を背景に、赤ん坊を奪われた母親の悲哀とその真相を探る新聞記者の孤独な姿を描いた野心作。
原題:(西) Canción sin nombre (2019)

1988年、政情不安に揺れる南米ペルー。貧しい生活を送る先住民の女性、20才のヘオルヒナ(パメラ・メンドーサ)は、妊婦に無償医療を提供する財団の存在をラジオ放送で知り、首都リマの小さなクリニックで女児を出産するが、一度も我が子を抱くことなく、赤ん坊は奪い去られる。
夫(ルシオ・ロハス)と共にクリニックを訪れるが、中はもぬけの殻。
警察や裁判所に訴え出るが、有権者番号を持たない夫婦は取り合ってもらえない。
事情を聞いた新聞記者ペドロ(トミー・パラッガ)は国際的な乳児売買組織の存在を明らかにするが、組織は権力の中枢と結びついていた…。

「別の視点から考えろ。母親と一緒にいて子どもに未来はあるか?」

モノクロ×スタンダードの映像センス、
抑制を利かせた演出スタイル、
無名の新人パメラ・メンドーサの無垢な存在感、
パウチ佐々木による民俗音楽、
どれも素晴らしい。
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