シネマノ

キャラクターのシネマノのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
2.9
『誰を、何を描きたかったのか…特大ブーメランのアイデア先行垂れ流しムービー』


凡百のどうしようもないサスペンスと上質なサスペンス、その違いの最たるものが「人が描けているか」だと思う。


本作はいったい誰を描きたかったのか…
絵だけが上手い漫画家志望の山城?
サイコパスな連続殺人鬼の両角?
やんちゃな過去あるからこそ人に優しい刑事の清田?



美しき連続殺人鬼(という宣伝文句が受けるという寒い判断)に扮したFukaseか。

しかしそれでは、映画としては焦点が合わない極度の乱視並のブレブレ作品になってしまうよな…


キャラクターが描けていない割に、力技もない。
突っ込みどころも多いし、展開の起伏も、ドラマのツイストもない。
この先に何もなさそうなのだか、いったい何を観せられているのか、と思うままに終わった。


韓国サスペンスが日本を追い越せ、世界を目指せと高みを目指した結果。
ここに韓国サスペンスの容赦ない描写を、豪華キャストと話題呼べるイケメン新人役者に演らせよう!という悪しき風習から、異形の日本映画が誕生してしまった。

…いや

ここまでキャラクターが描けていない映画ということは、山城におけるメタのメタなのか?
とすれば、この映画は…と勝手に妄想することにしよう。


でもこれ、原案から動いてる作品なんだよな。
確かに原案者、元編集者だし名を挙げたのは共同作品で、オリジナルの作品は…(ファンの方ごめんなさい)

このブーメランは、いったい本作にかかわった誰にブッ刺さるのだろうか、と考えるにはいい一作。


▼採点:★★★★★☆☆☆☆☆
▼上映時間:125min
▼鑑賞方法:ストリーミング鑑賞(Netflix)
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