よっくる

くれなずめのよっくるのネタバレレビュー・内容・結末

くれなずめ(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

端的に言うとすごく良かった。
わりと如何様にも解釈できる内容なのと、後半の演出が摩訶不思議なので混乱する人がいるかもしれない。
賛否両論というよりも、賛否両極端という感じ。
刺さる人には刺さる。グッとくる。
主題歌も素晴らしい。「それが答えだ」のアンサーソング。
いやはや最高。

この辺からネタバレ…というより、ネタバレOKの人も映画を観てから読んでほしい。


***


「友人の結婚式の余興で赤フンダンスを披露する」
高校時代の仲間が集まって結婚式会場を見たり、思い出話をしたり、くだらない話をしながら、吉尾にまつわる学生時代の思い出を、それぞれの視点から描き出していく。

吉尾に言われた何気ない言葉とか。吉尾ってちょっと不思議で、独特な視点を持っていて、ちょっとダメなところがあるけど、優しくて一緒にいて楽しくて、なかなか魅力のある男だな~。ってエピソードが順繰り巡っていく。

吉尾の好きだった音楽として登場するのが、ウルフルズの「それが答えだ!」。
それが答えだって言いながら答えを言わない歌。
そんな風に吉尾は言ってたな。案外、真っ直ぐな歌が好きな男だったな…なんて。
聴いてみたけどたしかにそう。ハッキリとした答えは明示されはしない。でも勢いがあってノれる良い曲だ。

吉尾がすでに亡くなっていることは、わりと冒頭からわかるようになっているし、サイトにも載っている。
なんてくっきりとした幽霊なんだろうか!
正直もうこれだけで面白い。

吉尾とのエピソードが進むにつれ、内容はつらくなる。死んでいるのに目の前にいるからこそ、つらいところもある。
泣くに泣けないし、涙はあの日にだいぶ枯らしたし。

なぜ吉尾が消えないのか。
吉尾は本当におばけなのだろうか?
吉尾が死んだ事実を受け入れられない仲間たちが生み出した幻覚なのではないだろうか?
その辺は、薄ぼんやりとあいまいだが、あいまいで良い。あいまいなのが良い。


……とここで、私の感想が途切れて下書きになっていたのですがとりあえず映画は最高でした。観てください。

※若葉竜也を観ていてふと思い出したので追記(2024.4.29)

この映画の肝は、終盤であの1日をやり直すシーンである。
何がとか何も言えないけどすごく良い。
映画論もシナリオ論も知らないんだけど、このやり直すという手続きがあるのとないのとではまったく印象が異なる。

たぶんだけどこれ通過儀礼か何かだよね。
民俗学的に分析してほしい、誰か頼む。
よっくる

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