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エスター ファースト・キルのkanacoのレビュー・感想・評価

3.7
聡明で大人びた〈しかしどこかおかしい〉ミステリアスな少女エスターの過去を描いた波乱のサイコスリラー。前作を鑑賞の上、事前情報なしで見るのが一番楽しめるかも。事の運びのテンポが良く99分という短さも手伝ってサクっと見やすい。頑張るエスターちゃんを応援(?)しながら見守るスリラーかも🤭(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

★『エスター』『エスター ファーストキル』登場キャラクター、ストーリーなどのネタバレが推測可能な記述があります。また別ホラー映画『Pearl』にも触れています。未視聴の方はご注意をお願いいたします。



◆あらすじ◆
エストニアの精神病院に収容されている美しく利発そうな少女リーナは、その施設で最も警戒されているほどに賢く凶暴な患者だった。ある日、リーナは男性職員を誘惑し脱走を決行。パソコンで子供の行方不明者リストを検索し自分の外見と似ている少女エスターを見つけ、彼女に成りすますことを思いつく。数日後、コネチカット州に住む裕福なオルブライト一家は4年前に行方不明になった娘エスターが見つかったという連絡を受ける。驚きながらも両親は喜びエスターを迎え入れるが…。

❶聡明で大人びた少女エスターの過去を描いた波乱のサイコスリラー

聡明で大人びた、美しい少女エスターの真実を巡るホラーサスペンス『エスター』の前日譚。彼女が『エスター』にて恐ろしき悲劇に見舞われるコールマン家に引き取られる前のことが描かれるサイコスリラーです。

少女リーナは厳重な警備をされたエストニアの精神病院に収容されている患者の1人です。とても大人びた賢い少女ですが、その容姿からは想像できないほどの凶暴性と冷静さを持ち合わせ、人を殺すことに何の意も介しません。人を騙すことにも長けた彼女は男性職員を誘惑して殺害、そのまま脱走。その道中で子供の行方不明リストを漁り、自分にそっくりな少女エスター・オルブライトを見つけると成り替わろうと計画します。その企みはうまくいき裕福なオルブライト一家に迎え入れられますが、エスターの予想に反して徐々に狂っていく計画に彼女が奮闘する様子を描きます。

リーナの名前を捨てエスターとなって初めての家族、そして初めてのKILL(だけどリーナ時代にもう相当ヤってる😂)。リーナは最初から完璧にサイコパスな殺人鬼!しかし世に出たばかりのキラーとしては伸び代の余地があり!!本作が前日譚であるために結末は決まっているので、まだ殺人鬼としての手腕に甘さが残るエスターを応援(?)しながら見守るスリラーです(?)🤭

❷まだ技術的に甘さの見えるエスターちゃんのシリアルキラー修行

前作『エスター』といえばラストで真実が明るみになる〈どんでん返し〉があまりにも有名ですが、その〈驚き〉が知れ渡った上での前日譚というこの続編は「あれ以上何をどう描くの?」と注目を集めていたような気がします。私は予測ができておらず本作をみて「なるほど!」と思いました🤔

前日譚とはいえエスターが殺人鬼になった経緯は描かれません。冒頭の精神病院のシーンからリーナ(エスター)の殺意はフルスロットル!新人職員を殺害するために1本の鉛筆を握りしめる子供狩人の淡々とした立ち振る舞いには、鉛筆仲間のジョン・ウィックも膝を叩いて激励するでしょう✨👏😆

今作は殺意を隠さないため殺人のテンポも良く、映画自体が99分という短さも手伝ってサクっと見やすい作品でした。エスターが賢くて殺人に対して思い切りがよく、基本的にはスムーズに物事を進めていきます。絵を描いたりピアノを弾いたりと芸術にも長けた彼女は器用でなんでもできちゃう才女ぶりも発揮。一方で、本作ではそんな完璧主義者に振る舞うエスターがミスや困難にあってもがく姿も描かれます。相手の心理を読みながら演技するのが上手なエスターですが、この頃はまだ読み間違えたり余計な発言をしちゃったりして、悔しくて個室で暴れちゃうような姿がご愛嬌。恋多き乙女であるのも健在です。

そしてサイコスリラーですし異端分子はエスターなので、当然の如くエスターVS家族の構図となりますが対戦相手もなかなかのもの。母親も母親でしたが、息子がどうしようもない奴で「なんじゃ、こいつ」と思いました。エスターも「なんじゃ、こいつ」と思ったに違いない🤣

前作にて13才で10才のエスターを演じた女優さんが、今作でも23才で10才のエスターを演じますが、ここはその情報を知っていたので多少無理があると初めから思っていたために寛容になれたのか「エスターはこういう容姿!」と割り切れてそれほど気になりませんでした。

❸余談☆エスターちゃんとパールちゃん

本作をサブスクで見る前に別作品ホラーの『Pearl』を見ました。同じサイコキラー女子のパールと比べて、エスターはかなり自分に自信があるようだなぁ…とぼんやり思いました。承認欲求に奔走するパールに比べるとエスターは自己肯定感が高そう。

エスターは要領が良さそうだし問題回避能力が高く一見は優等生タイプ。パールの方がパッション型のムードメーカーかも。何をしても何だかうまくいかないパールと何でもそつなくこなしてしまうエスターといった感じ🤔

高校クラスメイトになったら赤いワンピースを着たパールが謎ダンスをキャッキャ踊りながら裾踏んでコケてる横で、ロリータファッションのエスターが「フンッ」とすまし顔で分厚い小説を一人で読んでそう。でもきっと泣きべそかいてるパールのために、エスターが気まぐれに音楽室のピアノでダンス曲を弾いてくれるよ(優しい世界)。パールは同学年の彼氏が早速できてベッタリしているけど、エスターはすぐ妻帯者のいる教師に一目ぼれしちゃうから全然彼氏ができないね🙄

🎹🐝「それにしても、この調子を繰り返していって、いつかエスターを受け入れてくれる優しい男性は現れる可能性ってあるのかなぁ🤔男性の趣味が極端すぎて狭き門すぎる気がしますが…。恋多き殺人乙女の安住の地は如何に(っていうか危険人物過ぎるから早く捕まってくれ😂)」
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