話題作は話題のときには見たくなく、遅れて見たくなる不思議。笑
ザ・村上春樹な、嘘くさいセリフみたいな会話はさておき、ストーリーは非常に丁寧につくられており、3時間長いけど、伏線も張る必要もあるし、まあしょうがないよね、っていう感じ。
多国籍、多言語が混ざってるあたり、ちょっと賞を意識した感じがあるかなと思うのは気のせい?でも今までにあまりなかった雰囲気で良かった。
人のすべてを知りうることはできない。それは生きていたとしても同じで。
そもそも、人間って、思ってることをすべて言語化して人に伝達できるほど、賢くない。
よって、相手が自分に見せてくれている姿は、1面でしかないし、自分だって相手に対してそうであるわけで。
そんな当たり前のことを実感することの難しさについて考えさせられる。
音が複数の男性と関係を持っていた「理由」なんて、たぶん、ない。欲望に忠実な人は、女にだっている。
家福を愛していたのだっておそらく確かで、もしかしたら他の男と関係を持つことによってバランスをとっていたのかもしれない。
あと、高槻はキレやすく女癖の悪い私生活のだらしない男だけど、音のことは愛していたわけで、クズでも人を深く愛することがある。
結局人間なんて、黒でも白でもグレーでもない。
音は最後、なにを家福に言おうとしていたかについては、
「私、別の人を愛してしまったの。別れて欲しい。」か、
「私、何度かあなたと別の人と関係を持ったの。あなたは知っていたはずなのに、なぜ何も言わないの?」
と予想するけど、うーん、どっち言われてもキツいかも。
おそらく最後みさきが韓国にいたのは、もともと在日韓国人で、自分のルーツと向き合ったときの再出発として、向こうで生活を選んだのかなと。
北海道の山奥の部落みたいな場所に住んでたし、韓国人の母親も差別されたりで仕事なくて水商売してたんだろうな。あの夫婦に招かれたとき韓国料理全然大丈夫だったし、「沈黙は金なり」とか言ってたから、なんかあるな?と思ってたら、最後謎が解けた。
家福とくっついたのかは不明。車は譲ってもらったか、付き合ってないとあの車乗らないからねー。40台後半と23歳って、歳の差えぐいけど、まあありっちゃありだよね。
小説も読んでみたくなりました。