【3日間引きずった秀逸なラストシーン 映画 #声もなく 】
ユ・アイン主演の韓国映画 『#声もなく』を鑑賞しました。ユ・アインは役作りのために体重を15kg増やしました。もともと、スリムですっとした顔立ちのユ・アインが、まるで別人のよう。この役作りはイ・チャンドン監督の『バーニング』にも通じるものがあります。
話せない役柄のユ・アインは、セリフが一つもなく表情と仕草で完璧に表現してました。相変わらず、背中で語れる役者ですよね。お芝居がうま過ぎます。もう、主演はユ・アイン以外は考えられないほどでした。
特に、ラストシーンの秀逸さ。ラストシーンに胸をえぐられ数日引きずりました。
深刻な社会問題を描いているのに、所々にバランスよくユーモアを盛り込むのも、韓国映画の秀逸なところです。設定が裏稼業と少女の誘拐事件なんて物騒なのに、後味の悪さや気分の悪さを感じさせないのがすごいです。
主人公が味わったことのない母性や父性。
当たり前の事を経験せず育った青年の背中が、無性に愛おしく感じます。
やはり、韓国映画はインディーズ映画も素晴らしいですね。とにかく、脚本が丁寧です。伏線の回収も丁寧。
全てにリアリティがあるから、物語の世界にどっぷりはいってしまう。見る人に矛盾を感じさせないだけでなく、社会問題を深く深く考えさせてしまうのは、役者のハイレベルな演技力に下支えされているのではないでしょうか。
あのラストシーンについて、映画好きの人たちと2時間は語れるだろうな。答えを用意しない、視聴者にボールを投げたシナリオでした。いろんな見方があるし、色んな感じ方があるでしょう。長編映画デビューだった女性監督らしい、みずみずしい演出でした。もう、ほんと。誰かと語り合いたい。
ユ・アインが好きすぎます。