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シャドウ・イン・クラウドのkuuのレビュー・感想・評価

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)
3.7
『シャドウ・イン・クラウド』
原題 Shadow in the Cloud.
映倫区分 G
製作年 2021年。上映時間 83分。
クロエ・グレース・モレッツが主演を務め、第2次世界大戦で極秘任務に挑む女性パイロットの戦いを描いたサスペンスアクション。
新鋭女性監督ロザンヌ・リャンがメガホンをとり、第2次世界大戦に従軍した女性兵士たちへのリスペクトを込めながら描き出す。

1943年。
ニュージーランドからサモアへ最高機密を運ぶ密命を受けた連合国空軍の女性大尉モード・ギャレットは、B-17爆撃機フールズ・エランド号に乗って空へ飛び立つ。
モードは男性乗組員たちから心無い言葉を浴びせられながらも、ひたむきに任務を遂行しようとする。
やがて彼女は高度2500メートルの上空で、自機の右翼にまとわりつく謎の生物を目撃する。
次から次へと想像を絶する試練に見舞われる中、大切な荷物を守りながら決死の戦いを繰り広げるモードだったが。。。

今作品は、ファンタジー、寓意、皮肉という概念を含んでいることを踏まえ見たらとても面白かったです。
勿論、個人的にキュートで愛らしいビジュアルに加え、ずば抜けた演技力が高い、クロエ・グレース・モレッツご出演やし何でもアリでも許せてしまう(軟弱なことで🙇)。
最近のジャッキーチェン映画は何でもアリじゃなくなってカリスマ性がなくなってきたが、クロエは25才と旬。
歴史的な正確さに欠けるとか、航空力学の信頼性に欠けるとかは置いといて、序盤、今作品は幻覚的な出来事を紹介する。
しかし、これはどれも文字通りに受け取られることを意図していないことが明らか。
例えば冒頭のアニメーションが流れるが、これは、『Private Snafu』ちゅう大人向けの教育用短編映画シリーズが元になっている。
ここには、軍隊の慎重さ、衛生、戦闘準備、日常生活について下士官兵に教育することを目的としていたそうです。
1943年から1945年にかけて作られ、公開を前提としていなかったため、検閲の制約を受けずにすんだそうです。
また、その中でパロディ化されているタイトル・キャラクターは、軍の頭文字"Situation Normal, All Fucked Up"に由来してて、1943年のバッグス・バニーの漫画『Falling Hare』では、バッグスはグレムリンが陸軍航空隊のB-24爆撃機を墜落させたり破壊したりするのを防ごうとするシーンが描かれている。
これは、戦時中に軍用機器に問題を引き起こす通称『グレムリン』、すなわち認識されていない、あるいは発見されていない欠陥についての軍の懸念を一般化したものです。
冒頭でもうかがえるように、今作品は寓話であり、第二次世界大戦中の米国の爆撃機を緩やかに表現したもので、そして、第二次世界大戦の歴史ドラマでもない。
今作品のクロエは上映時間の大部分で画面を埋め尽くしており、そのために必要なカリスマ性をすべて発揮していると個人的贔屓目寄りで思いました。
彼女は見る者の注意を引きつけファンならきっと感情を揺さぶられる別世界に引きずり込んでしまうと思う。
また、今作品における寓話には実際に意味があり、これは目的を持ったファンタジーと云える。ある女子についてだけでなく、すべての女子についての映画と云えるかな。 
また、人間の性格の強さ、自分の恐怖を克服する能力など、実に価値あることがたくさん描かれていました。
映像はめまぐるしく、非現実的やったけど、全体は本質的に飛ぶ夢であり、夢として完璧に意味をなしているかな。
強力な心理的力が、日常の覚醒した論理、ましてや物理法則などお構いなしに繰り広げられ、その領域で起こる物語なのです。
それは、明らかにそれに付き合うことができるなら楽しい場所となるかな。
意図的に多くを語らないようにしています。
なぜなら、小生自身、さわりくらいであまり知らないまま今作品を観たことで楽しめたからです。
意表を突くような展開に身を任せる余裕もあったしかな。
いつもならボヤキのオッサンのように画面に向かい突っ込みまくってるけど、今回に限りそれもせず観終えた。
今作品を、そうでないものとしてではなく、そうであるものとして見たら、物語の展開に揺蕩えることなく、クロエ・グレース・モレッツに漂えると思います。
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