阪本嘉一好子

The Attack(原題)の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

The Attack(原題)(2012年製作の映画)
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迫力のある映画で、人間、主人公アミンAmin Jaafari (Ali Suliman)の心模様が真実を掴むため揺れ動いているのがよくわかる。パレスチナ人の主人公がイスラエルのテレアビブ病院で人望のある外科医として働いている。それも、ベストドクターと言われている賞をパレスチナ人として初めて(?)イスラエルからうける、彼は、イスラエルで実力のあるパレスチナ人なのだ。人をユダヤ人、パレスチナ人と差別なしに患者に尽くす。患者は医者をユダヤ人に変えてくれと叫んだりするが、彼は自分がなにをすべきかしってるからそれに怯まない。

ところがそうは簡単に問屋が卸さない。『判決、ふたつの希望』『 西ベイルート』のジアド・ドゥエイリ監督の作品。『判決、ふたつの希望』『 西ベイルート』の2作はレバノンが舞台だが、この映画はイスラエル。テレアビブの病院やウエストバンク内の北方のナーブルス(パレスチナ地区)が主人公アミンの故郷で、そこに問題の答えを探しに行く。

パレスチナ人であるかれは簡単にイスラエル領に入れる。証明書にはかれの身分が書いてあるから、他のパレスチナ人は一悶着起こしてても、彼は特権階級である。
それに、彼は伴侶との生活を幸せだと思い、何も疑うことすらなかったが、突然、自分の全く知らない伴侶Siham (Reymonde Amsellem) が。恋愛から結婚生活を考えてもどこをとっても疑いになる行動を彼は見つけることができなかったが、伴侶には秘密の人生があった。これを探し出すため、彼に当てた手紙を送ったと思えるナーブルスに一人でいく。

話を全部暴露しても面白くないだろう。このゆっくり動くシーンが怖さを増す。それで結論がでるが、彼は友達の女医の言葉、『イスラエルは彼にベストを与えた。医者に戻って、イスラエルの患者とパレスチナの患者を同じようにみられるか?』とか(?)言う言葉に伴侶を失ったあとの悲しみと後悔を含めて、彼は泣く。

『判決、ふたつの希望』『 西ベイルート』のに負けず劣らず、人間を追求する迫力のある映画。

難点は彼の動くところ、テレアビブはイスラエル首都だからわかるとしても、たくさんの人々はナーブルス、ジェニン(多数のパレスチナ人の殺されたところhttps://filmarks.com/movies/90575?mark_id=89025463)などはわかりにくい。パレスチナ、ユダヤの政治宗教争いで、ユダヤ人に占領された場所であったり、パレスチナの自爆グループなど(日本の特攻隊のよう)が誕生しているので、場所の名前だけでも画面の端に書いて欲しい。