高校3年生のアダム。幻聴や幻覚が見える症状が出て統合失調症と診断される。普通の生活が送れなくなった彼は周囲の人々の助けを受けながら、再生への道を踏み出す姿を描いたヒューマンドラマ。
主演は最近個人的に注目している若手のチャーリー・プラマー。料理人になるという夢を持っているも統合失調症を患い、悩み苦しむアダムを好演。不安に押し潰されそうになりながらも自分の人生に光を見出そうとする姿は印象的でした。
統合失調症の人の苦しみを可視化したような演出が本作の特徴。いきなり誰かが話しかけてきたり、自分に殴りかかろうとしてきたり。部屋が異空間になったりと他の人からは感じられない異常な状態に陥ってしまう様子が分かります。
新薬の治験対象に選ばれ、その投薬にて症状は緩和したように思えても、その副作用で味覚が無くなってしまう。料理人を志していただけに投薬を止めて、また症状が再発。アダムの終わりがない苦しみが嫌と言うほど伝わってきました。
それでもそこまでドロドロしたような描写ではなく、まだ綺麗めな作風なので映画としての見やすさは十分。重いテーマながらしっかりと描けていた印象でした。
主演のチャーリーだけでなく、彼の悩みを聞く神父を演じたアンディ・ガルシアが密かに影のMVP。言葉少なくても彼の存在自体がアダムにとって心の支えになっているように思えましたし、見てても安心感が凄く感じられましたね。
ラストも希望が感じられる終わり方。見終わった後の後味も良かったです。この評価の高さも納得の仕上がり。日本では未公開作で知名度は低いですが、素直にお勧めできる作品です。