リリー

僕と頭の中の落書きたちのリリーのレビュー・感想・評価

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)
3.6
統合失調症については、中学生の時に図書館でたまたま手に取って読んだ「わが家の母はビョーキです」というエッセイ漫画が衝撃すぎて記憶に刻み込まれていた精神疾患。
幻覚が見えたり幻聴が聞こえ、包丁を持ち出して振り回すというのが、病気によるものだということが衝撃だった。
そしてこの病気になったほとんどの人が、一生精神薬を服用しないと、日常生活を送ることが難しくなってしまう精神疾患だということを最近知った。
もうすぐこの映画のネトフリ配信が終わると聞いて、気になってたから慌てて観た。

統失を含め、精神疾患は自分のことを大切に思ってくれる周りの人達に頼ることで経過は良くなることは一理あるのかもしれないが、上手く人に頼ることができない人や、本来1番頼るべき家族や肉親との仲が上手くいっていないと難しいものがあると思う。
よく、家庭環境が悪い人の精神疾患は治らないと思った方がいいと言うが、その真意は幼少期からの歪んだ思考や、虐待など色々な要因はあると思うが、正直これもあると思う。

「癌患者の夢は周りの人達が必死で叶えようとしてくれる。でも統合失調症患者は?皆んな離れていく。」という言葉に、可視化されづらい内部障がい者や精神疾患者の苦しみが現れていた。

以下ネタバレ









アダムは義父と母に恵まれており、尚且つ自分は本当に大切に思われていると気づくことができたから良かったものの、病気による幻覚や幻聴と闘いながら、歪んだ思考と闘いながらもそう気づくことができる人が、映画の中ではなく現実世界で、果たしてどれだけいるだろうか。
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