スローモーション男

リコーダーのテストのスローモーション男のレビュー・感想・評価

リコーダーのテスト(2011年製作の映画)
4.8
 『リコーダーのテスト』

 『はちどり』を後に撮ることとなるキム・ボラ監督の短編映画。

 9歳のウニは兄のお下がりのリコーダーでテストに向けて練習するが、あまり音が出ず親にねだるが、仕事に忙しくウニの相手をしてくれない…。

 『はちどり』の前日譚のような物語で、こちらも悲しい物語…。
 家庭環境が悪いと友達がお母さんと仲良い所見ると羨ましいと思ってしまうんだよね…。そんな子供ながらの残酷さが滲み出てる。お父さんとの関係性がこの頃から悪いし、触れたいのに触れられない、そんな距離のある親子の姿がある。さらに兄にリコーダーを吹くな!と怒られ殴られる。『はちどり』ではテスト勉強のストレスで殴られる。こんな兄妹の理不尽さも描かれる。
 作品を通してフランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』に影響されたような雰囲気がありますね。あとエドワード・ヤンとかにも影響されてますね。

 キム・ボラは本当に人間の悲しみを描くのが上手いですね。
 早く新作が観たいです!