あかっか

ジュゼップ 戦場の画家のあかっかのレビュー・感想・評価

ジュゼップ 戦場の画家(2020年製作の映画)
4.0
2023_047

戦争を知らない子どもたちに責任はない

しかし戦争を学ばぬ大人たちは無責任でいてはならない

学び、伝え、続けること


かなり心が抉られた。正直、全てを理解したとは思えないし、恐らく半分も理解できていないとすら思う。それでも伝わってくる思いがあった。

スペインの画家(イラストレーター)ジュゼップ・バルトリの激動の人生を追った、ドキュメンタリー的アニメーション映画。

かなり特徴的なキャラクター、止め絵を多用したあまり動かないアニメーションという珍しい手法で世界観を構築する。

この作風がとても効果的で、ただのアニメ映画とは一線を画す。そう、どのシーンも風刺画、イラストの様で、まさにジュゼップの作品世界と繋がっていると感じる。クライマックスはパズルが完成する瞬間の感情の揺れにある。

難民強制収容所の灰色の空と乾いた茶色い土。メキシコの蒼い空と壁。ニューヨークの雑多な色が溢れる街並み。色のイメージを強烈に残す。

哲学的な台詞も素晴らしい。

戦争が何をもたらすのか。戦争を知らずに育つ子供たちは幸せだと思う。しかし、いつかは戦争を学ばねばならない。知らないと知ろうとしないは全くの別物だから。

ジュゼップの遺した作品から、出来るだけ多くを学び、そして伝えなくてはならない。世界から戦争がなくなるその日まで。

戦争を知らない世代にオススメします。事前にスペインとフランスの歴史を知っておくと理解が深まると思います。
あかっか

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