チッコーネ

Sorum (英題)のチッコーネのレビュー・感想・評価

Sorum (英題)(2001年製作の映画)
3.2
ホラータッチなのだが、ジャンル映画の作法に全く囚われぬ自由な演出が魅力的。
韓国が激動の70~90年代を経て発展へと向かう道程で、取り残されつつある人々の情念を掬う設定は、実社会を震撼させた連続殺人犯の境遇にも重なるようで、怖い。
作り込み過ぎない美術も秀逸で、同時期の韓国ホラーの中では地に足の着いた出来映えだった。

場面転換はクールで素っ気ないが、同時に主人公2人の演技をノンストップで捉える長回しが多い。
池の桟橋で語り合うふたりを捉える場面では、舟中にあるのか、カメラが緩やかに回転していく。
またモーテルの一室で迎えるクライマックスはすごい迫力、攻めたキム・ミョンミン、受けたチャン・ジニョン両名ともに立派だった。

30年の時系列が重要なのはわかるのだが、脚本にご都合主義が目立つため、仕上がりはやや強引。
特にヒロインの髪型が、特定の事件前後であまりにも変わり過ぎている+特殊メイクで顔面が変形しているため、同一人物に見えてこないのはもったいなかった。