でしょうかな

トニー・マネロのでしょうかなのレビュー・感想・評価

トニー・マネロ(2008年製作の映画)
3.3
ピノチェト政権下のチリ。映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の主人公トニー・マネロを模倣するラウルは、執着するあまりおぞましい犯罪を重ねていく。

邦訳でソフト化も配信もされていないので英語版字幕付きのDVDで見る。
スクリーンの中のアメリカに魅せられながら、独裁政権での抑圧された社会をもがくように生きる男を描く。平気で殺人や強盗を働く主人公はまごうことなくクソ野郎ではあるが、彼がそんな破滅的な生き方に行き着いたのには、何かに耽溺しなければやってられない過酷な社会情勢もあるのだろうと、ピノチェト政権をよく知らない自分にも窺えるほどその兆候が多く登場する。極めて薄っぺらく短絡的な暴力はどこか物悲しくもある。ラストも無情。
題材は好きだし出来も良いとは思うが、自分にはそこまで刺さらなかった。でも一見の価値はあると思う。
でしょうかな

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