不死身の「ジョン・ウィック」最期の刻。
ストーリーも、言ってしまえばあくまで繋がってる風である今作は、単作としての色味が濃く、内容も無ければ特にシリーズを履修する必要も無いくらい殺し合いしかしていないのが実に特徴的である。
また、シリーズ通しての因縁の敵なども特に用意がされていないから、登場するほとんどのキャラははじめましてだし、お馴染みのキャラも今作において特段重要な役割は担っていないという事で、本当に本当にジョン・ウィックがただひたすら命を狙い狙われ殺戮しまくるだけとなっている。
…のに、なんで本編が169分もある‼︎
どんだけおもしろくても流石に長過ぎる‼︎
かと言って、描いておかなくちゃいけない展開があったかと言われると、はっきり言ってなにもない。
どこのどの場面が抜けてても成立してしまうんじゃないかと思わせるくらい、やってる事は徹頭徹尾殺し合いオンリーだ。
その為「キアヌ・リーブス」が大の親日家だからなのだろうが、特に大阪のくだりなんかは丸々無くても良かったんじゃないかとすら思う。
ただ「リナ・サワヤマ」は前々から彼女の音楽を聴いていたりしたから今回の出演は嬉しいし「真田広之」も出ていたので、そういう意味では有意義ではあったが、でもやっぱり物語上必要だったかと言われれば実に微妙。
一応、ポストクレジットでその役割は回収されていたし、それがサブタイトルにも掛かっていた分印象的なラストにはなっていたが、上映時間との兼ね合いを鑑みるとちょっとは削るべきだったのではと感じる。
ただ、アクションに関してはこれ以上ない程お腹いっぱいに堪能させてもらった。
今シリーズのアクションの特徴は泥臭さにあると思う。
立ち回りは極めてスタイリッシュなのだが、その実度々一撃では仕留め切れずに何度も追撃して、ヨタつきながらもようやく倒すといった描写も多分に盛り込んでいるのが、他のアクション映画にはないエッセンスと言える。
そのおかげで、ジョンの疲弊具合、満身創痍感を巧みに演出できており、尚且つキアヌ自身の加齢からくる身体のキレの無さに対してのカムフラージュの役割としても地味に機能していたりする。
そういうある種の潔さも魅力に昇華出来た事は、今シリーズにおいての最大の功績と言えるだろう。
ただし、なんでもかんでも語尾に「フー」を付ければ新しいアクションスタイルになると思うなよ!