とらちゃん

TITANE/チタンのとらちゃんのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.8
2021年、パルムドール受賞作品!

凄いです、この映画!めちゃくちゃぶっ飛んでます!
ほぼ情報をいれずに観たので衝撃がすごかったです。もちろん、グロテスクであることはわかっていました。
この監督の前作もそうでしたが、交通事故から物語が始まります。2作連続で交通事故から始まるというのは監督にとって何か意味のあるものではあると思いますが、この交通事故からスタートするというのは一気に物語に観客を引き込むという意味ではかなり効果的ですよね。(ジュリア・デュクルノー監督はデヴィッド・クローネンバーグ監督の影響を受けているらしいです)実際、2作ともいきなりの展開に僕は映画に飲み込まれました。
また、前作も今作も運転側が悪い交通事故ではないんですよね〜。
特に、今作ではそれが顕著に現れていて、アレクシアが生まれつきサイコパスであるということが伝わります。
交通事故がきっかけで車に対して対物性愛を感じるようにはなりますが、あくまで生まれつきのサイコパスであると僕は思います。
そして、そのあとの器具をつけているシーンもかなり印象的ですし、そのあとの車にすりすりするシーンも鳥肌が立ちました。TITANEという題名が出るまでの冒頭でもうこの映画がやばいということが伝わりました。
そして、その後はもう息を呑むような、清々しいまでの殺しっぷり。しかも、音楽も相まって、映像はえげつないけどノリノリで僕は乱行パーティまでの殺人を見てました。
殺害の仕方も面白くて髪留め?のようなものをブッ刺すのかなり好きです。特に、最初の殺害のシーンで急に刺して殺すところはいきなりすぎてびっくりさせられました。
個人的には、椅子で殺した後にその椅子に座って一息つくところがお気に入りですね。その後も何人いるのよといったちょっと笑えるシーンもありました。

この映画、アレクシアが車とのセックスで妊娠をするというSFのような展開もあるのが面白いです。

そのあとの展開もかなり意外な方向に進んでいっていつバレるかヒヤヒヤしながら見てました。
女のアレクシアが息子を亡くした男の息子として生きていこうとするというのはありきたりではありますが、男性化していく中で妊娠をしておりお腹が膨らむというのは今のジェンダーレスの社会において面白い表現ですよね。
そして、男もアレクシアもこの状況を認めた先に本物の愛が生まれるというのが感動的?でした。

アレクシア役を演じたアガト・ルセルは今作が映画デビューらしいです。素晴らしい演技でしたし、特に、前半はかっこよすぎて映画内の彼女にファンが出来るのも納得といった感じでした。車の上でのダンスは魅力的でした。今後、間違いなく活躍していく俳優さんですね!

あと、ジュリア・デュクルノー監督の映画に毎回ジュスティーヌという役で出演しているギャランス・マリリアーが超可愛いです。少ししか出ないのが残念でした。

ラストの解釈は人それぞれだと思いますが、僕はアレクシアの生まれ変わりでもあるように感じました。劇中でもヴィンセントが神とキリストについて言っていましたが、もしかすると産まれた子供はキリスト的存在かもしれませんね。
母体を殺して異形的な子供が誕生するシーンはエイリアンを彷彿とさせられました。

いや、本当に面白かったです。
傑作でした。

2022.88本目
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