さちこ

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのさちこのレビュー・感想・評価

4.5
The half of it 面白いのはこれから



○監督・脚本:アリス・ウー/オリジナル作品
○出演:リーア・ルイス
ダニエル・ディーマー
アレクシス・レミール
キャサリン・カーティン
コリン・チョウ




"静かさの中に物語が佇んでいる。文学的で、知的な会話なのに、心はまだ未成熟"


すごく良かった。良いよね。
じんわり心に広がる静かな恋愛。
終わった後に、味わいが残る感覚がすごく心地良くて、観たのは随分前なのに
今でも良い映画だったとログを残したくなった。



なんなら、あんまり知ってる人はいないんじゃないか、観終えたあとは、
見つけた!こんなにいい映画!やったあ!というようなドヤ顔だった。


劇的な何かがあるわけではなくて
言ってしまえば冴えない2人が
誰にも相手にされないような場所で
無意味そうな努力をする。


ベタだけど、この一緒にいる時間で
心が徐々にエリーに移っていくポールが
本当にナチュラルで、可愛くて、
すごく愛おしい。

エリーは、聡明だから
自分の中にある感情の名前に早々に気づく。
気づいていたけど、確信にしたく無かったのかな。
閉鎖的な田舎町の価値観、宗教のおしえ、父の姿、そして友ポールの気持ちを考えると、一歩を踏み出す勇気は到底ないから、。
聡明すぎても苦しいんだ。


アレクシスレミール演じるアスターがとても魅力的だった。
一般的にな魅力的な人を演じるのってきっと難しい。
でもすごくナチュラルに、
陰りも、聡明さも、自分の居場所への疑問感も、エリーへの心の許し方もすごく自然と表現されていて、素敵でした、。

手紙の相手が本当は誰なのか気づいていた。と言うその告白とその言葉がすごく好きでした(*ˊᵕˋ*)



代名詞とも言える池のあのシーンは
本当、永遠に、ドキドキしていたし
題名の解釈を何となくほのめかすような演出で粋な感じ。

日本語が好きで、日本人だから
空気感や雰囲気、間、独特の言い回し、皮肉、ジョークは邦画のものしか理解できないと思って
邦画ばかりを観ていた私にとって

丁寧な時間が流れていて、
一言ひとことにドキドキさせられたこの池のシーンはすごく革命的でした🧘‍♂️🤍

知りたいと思ったし、こういう言い回しの本当の心のうちは?そう気になることができた。

half of it も和訳や会話的な使い方を調べてみると「半分しかわかっていない、面白いのはこれからだ」とでてくるけど、割と否定的な例文が多いのが印象的。

*肝心なことがわかっていない
*そんなに簡単な話じゃないんだ
*事はもっと重要
など…
このどれもが、映画に当てはまるなと感じて、
言葉のニュアンスを捉えることができた気がします。
おもしろいのはこれからという邦題よりもしっくりしてしまって、タイトルの受け取り方は一つじゃなくて良いのかなと勝手に思い込み自己完結。笑笑



🍍🦉🐛
この絵文字達に関しては永遠分からないけど。




愛は厄介で、おぞましくて、利己的で、それでいて大胆。


まさにその通りな内容にとても納得を繰り返した。
そしてこの決まり文句が大好き。

文学的でロマンチストなのにどこか詰めが甘いエリーが、
筋肉冴えないお馬鹿なポールと心の深いところで友情を通わせ、
自分の本当の居場所に違和感を覚えているナチュラル美人のアスターに、
勇気を出して一歩を踏み出す姿が…
なんとも可愛い。𖠚ᐝ

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