雨丘もびり

カメラを止めるな!リモート大作戦!の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

2.2
企画、心からありがとうございます。
大好きなカメ止めチームにまた会える嬉しさは他に代えがたい。
観ていてなんだかホッとします。

...という気持ちは、私も皆さんと同じつもり。
そのうえで、真魚ちゃんの「外を走り回って、映画撮りたいよ.....ッ!」
に、泣きそうになっちゃった私の、思ったことね。


.....ほんとうに、こういうことを現場でやりたいの?


いま、リモートで動画作成し、ネット配信しているクリエイタ達のなかに、120%が達成できない状況下でも、どうにかベストを尽くそうと悪戦苦闘し、エンタメを届けようとしてる人たちがいる。
私は、彼らの尊さに感激してる。
    
その、私が熱を感じるArtistたちの配信作品と、この映画で上田監督が目指した「出来不出来はともかく、みんなが遊べる場を用意してみました~!」的な映像作品とは、できあがったモノの完成度は近いかもしれないけど、スピリットにかなりの乖離がある。
結果的には50点でも、30点を狙った勢いで取れた50点と、100点目指したけど及ばなかった50点との違いは、わかってしまう。

.....なんか、そもそもの設計思想から違ってる感じ。

即席でパパッとまとめて出されたコンテンツと、仕事や収入源を奪われて苦しんでいる演者たちが、外出できなくてツライ思いをしているファンの方々に向けて差し出すコンテンツ。
これらは優劣なく別モノで、私はいま後者に肩入れしているから、ラストの真魚ちゃんの台詞がグサグサ刺さるし、逆にこの作品には寄り添えない。

『カメ止め』のケツカッチンで間に合わせ!という愉快さが、いま表現の場を奪われたArtistたちの「それでも未来を見据えて全霊で取り組んで(無償で)ワザを提供する!」っていう決意と乖離していて、私はなんだか空しくなった。
マネタイズできてない意味合いも全然違うし。
    
世界が元に戻りだして、このドラマが本来あるべき姿で完成したとして、映画館でお金を払って観る?
申し訳ないけど、私はNO。
だって、この映画のダサさは、ソーシャルディスタンスのせいじゃないから。
   
ありがたい企画だし関係者各位に深く感謝しますが、それだけで褒めそやすのをためらってしまう、埋めがたい差を感じた。
現場に出て作りたい作品がある
ライブハウスで叫びたい歌がある
劇場で分かち合いたいドラマがある
コンサートホールで響かせたい音がある
美術館に来て見てほしい絵がある
表現の機会を挫かれて苦しんでる人たちとは、別種の人間が作った映像作品に思えてならない。



私はよっぽど、こっちの動画のほうが好き。
https://www.youtube.com/watch?v=rraUeQ9n-Sk
【おうちで再現】東京ディズニーシー/タワー・オブ・テラー

遊びの振りした、祈り。
   
しゅはまさんきれいになったなー。