ユーライ

リンダ リンダ リンダのユーライのレビュー・感想・評価

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)
5.0
「女子高生にバンド組ませてブルハ歌わせれば受けるやろ」というオヤジ臭がキツい企画を山下敦弘が巧妙に脱臭していく。若干29歳。同系統の学園コメディとして矢口史靖のようなあからさまに笑わせる雰囲気ではなく、ゆったりと弛緩した時間が確かに微熱を持って紡がれていく。留学生のメンバーを飛び入りで加入なんてさせたら一悶着あるのは確定なのだが、ディスコミでギスギスといった鬱陶しい要素はない。乗り越えるべき壁として設定されるのはせいぜいラストの寝落ちしてたら台風直撃でさぁ大変、くらいのものだ。これはどう考えても理想化された括弧書きの「青春」である。トイレで鏡越しに交わす感謝の言葉は異国語なのに何故か通じ合う。これはかくあってほしい、結束した女子高生は無敵なんだお前ら文句あるかという宣戦布告なのであって、全く以て仰る通りです参りましたと平伏する他ない。クライマックス文化祭でカマす「終わらない歌」をバックに点描される無人校舎。このノスタルジーを問答無用で喚起する演出は発明と言っていい。ガールズバンドものとして『ハルヒ』はもとより『ローリング☆ガールズ』『ぼっち・ざ・ろっく!』などなど無数のフォロワーを産んでいるサブカル的に重要作である点も外せない。
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