変リクセン

マッド・ハウスの変リクセンのネタバレレビュー・内容・結末

マッド・ハウス(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

自分の夢を認めてくれない&病身の母親を裏切っていた父親から逃げた女性が引っ越し先で酷い目に遭うホラー・スリラー映画。

話自体に目新しさはないが、カルト集団に身体及び生活を侵食される恐怖は十分に描けており、及第点には達している出来だと思う。

個人的に一番印象深いのは、弱り切った元女優のおばあちゃんを安楽死(本質は殺人)させるシーン。カルト集団が求める理想郷に弱者は必要ないという愚劣な思想をしっかりと表現できていた。また、別のシーンで彼女が自分に課せられた役割を果たすよう求められる姿は、結局彼ら・彼女らの思想において人が人として尊重されることはなく、あくまで共同体を維持するコマに過ぎないことが示されていたのも好印象だった。

映画でマイナスな意味で気になるのは、マンション(アパート?)の住人が外部とのかかわりなしにどうやって生計を立てているのかの描きが甘いことと、父親がすんなり新居を訪れていること。前者については、団体が不動産経営で得た収入を分配して解決しているのかもしれないが、もしそうだとしてもクライマックスのシーンで周辺の住居も同類であることが描かれている分、余計「あれだけのコミュニティを養うのはさすがに無理では?」となり残念だった。後者については、父親が嫌で逃げてきた主人公がその張本人に住所教えるってのが納得できなかったかな。

まあ傑作・快作ではないが、コミュニティが持つ闇の部分とカルト宗教のヤバさは楽しめる。それに先に挙げた印象深い点は、今の日本とちょっと重なる感があるので、観て損はしないと思う。
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