保安官をクビになった男が麻薬潜入捜査官にスカウトされ、過去のトラウマに悩まされながらも職務を全うする、という
今となっては、この役をチャーリシーンがやったのかー、としみじみ感慨深く眺めてしまう作品。
ストーリーとしては割とありふれた「素性を隠して悪の巣窟に潜入し、ボスに気に入られる振る舞いを貫いて信頼を得てから犯罪組織を一網打尽!」というパターン。
そこに捜査官の幼い頃の記憶がフラッシュバックで挿入され、精神的に危ういながらも何とか頑張る、というスパイスが混ざる。
以前見た「マッドストーン」や
キアヌリーブスの「ハートブルー(ポイントブレイク)」からの「Xミッション」
他にも「インファナルアフェア(アメリカ版はディパーデッド)」
最近なら「2ガンズ」や「ブラッククランズマン」
などなど
そんな流れを汲む話ではあるけど
実話ベースという事で
派手なドンパチのシーンは殆ど出てこない。
大人しめのカーチェイスと、脅しとして銃をぶっ放したり、殴り合うシーンはあるけど、スカッと爽快とまではいかない。
相棒ディルドの存在もそれほど活かされてない。ボロボロのフレームだけのハーレーを組み立てるうちに、最新の型式のハーレーになってるくだりは演出にしても酷い。
集団で走るシーンも「バイカー礼賛」というわけでもなく、付け足し程度の絵にとどめているのがある意味「保守派」向け映画と言えるかも知れない。
意味ありげにネイティブ・アメリカンのメディシンマンキャラを挿し込むが、それほど重要な助言をしてくれるわけでもない。
ベッドシーンも意味もなく尺が長い。
おっぱい出す必要あったのか?
チャーリシーンのワイルドバイカー変装も全然板についてないのが痛い。品行方正(に見えてしまう)な振る舞いが災いして、全然ワルっぽくない。ヒゲと長髪の似合わなさが泣けてくる。マイケルマドセンに「熱血先生(hot shot )」と言われてしまうくだりの演出は本作の2年前に作られた彼のヒット作の揶揄なのだろう。
挿入歌も当時の微妙に売れかけたハードロックバンドに担当させているが、どれもこれも「どこかで聴いた様なありふれたハードロック」で、クリス・レアとかサイゴンキックといったB級バンドが担当。いかにもアメリカ人が好きそうな当たり障りのないメロディが並ぶ。
そして一番酷いのが
原題「Beyond the LAW 」(法を乗り越えて、みたいな意味)に対しての
邦題が
「キングオブハーレー」って…
売る気あんのか?!っていう酷さ!
すべてにおいて、ボンヤリしてるというか
実話ベースならもっと作り方無かったんかい!?と言いたいレベル。
残念度だけはピカイチだった。