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ぼくのなかの夜と朝のzhenli13のレビュー・感想・評価

ぼくのなかの夜と朝(1971年製作の映画)
4.3
シネマヴェーラ 柳澤寿男特集にて
とても静かで豊かだ。音声は別録りらしい。補装具での訓練が怖くて叫ぶ子どもと指導員の声が映像と同期せず、奇妙な感覚をもたらす。母と離れて入院した日に泣き叫ぶ子のアップも。観てて切なくなるくらい泣きじゃくりながら、一瞬カメラに好奇の目を向ける面白さ。

たくさんの子どもが歩行訓練するシーンで、補装具をつけた何人もの下半身の正面シルエットが映る。耳元で再生されるかのような彼らの歩く音。その直前、新病棟の重い扉が閉まるカットにより、歩く音の示唆するものが見える。

赤い頬の子どもたち。嫌悪と反発のまなざしをカメラに向ける青少年たち。彼らがどんな大人になっていくのかもっと見届けたかった。ナレーション脚本が素晴らしい。就学義務化以前に、三十数年後に明文化されるインクルーシブ教育について言及していて、それは未だ本当の意味では実現していない。


「ぼくのなかの夜と朝」
(1971年/100分/カラー/16mm)
製作:社団法人西多賀ベッドスクール後援会 製作:今野正己、浮田洋一
監督:柳澤壽男 脚本構成:大沼鉄郎 撮影:石井尋成、秋山洋、長田勇
編集:高橋春子 音楽:松村禎三 録音:大橋鉄矢 
解説:伊藤惣一 監修:近藤文雄 
仙台市にある国立療養所西多賀病院(現・独立行政法人国立病院機構西多賀病院)は1947年に結核療養所として開設され、進行性筋萎縮症(筋ジストロフィー)の治療を全国に先駆けて取り組んできたことでも知られる。この映画は1969年の秋から1970年の春にかけ、西多賀病院のベッドスクールで生活する130人の筋ジストロフィーに冒された子供たちを記録したものである。
(神戸映画資料館サイトより)
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