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キャンディマンのytのレビュー・感想・評価

キャンディマン(2021年製作の映画)
3.4
これまで”ゲット・アウト”や”us”と数々の名作を生み出してきたジョーダン・ピールが脚本を務めた、1992年に公開された同名作品の精神的続編。シリーズを通せば4作目となる。登場キャラクター、キャスト共々続投し、28年後の物語を描く。黒人差別という社会問題に、エンタメを組込みながら作り上げたメッセージ性の強い作品。

[あらすじ]
→シカゴの公営住宅のある地区で語られる、不気味な都市伝説。それは、右手にフックがある殺人鬼にまつわるもの。ある日、その伝説に興味を持った新参者の住民が謎を追い始める。やがて、公営住宅に住んでいたとする老人と知り合った彼は、殺人鬼についての驚きの情報を知り……。

[レビュー]
・ジョーダン・ピールが制作に加わっていることもあってか、黒人差別という社会問題に対する強いメッセージ性がある。今も尚続いている差別を、過去のものとするのではなく、今現在も進行形として起こっていることだと強く感じさせる内容。トイレで襲われるシーンや、ラストのエンドロールなど様々な所で訴えかける。日本に住んでいるだけあって、人種差別という現状を直に心へ届けることは難あるが、差別の現状を自ら知らないといけないと思わせてくれる作品でもあった。

・一方で、人種差別という社会問題を扱った内容なのにも関わらず、ジョーダン・ピールお馴染みのエンタメ性は少々欠けるため物語が淡々としすぎている部分がある。内容が内容なだけに、集中して観る分もう少し落とし所やエンタメ性が欲しかった。そう言った意味では”ゲット・アウト”や”us”に軍配は上がる。91分という時間が救いだったイメージ。

・予告編や情報を見る限りでは、単なるスラッシャー作品と捉えられてもおかしくはないが、予想以上に堅い内容である。だが捉え方を変えるとするならば、海外ではヒーロー物の映画は好まれるだけあって、”キャンディマン”という存在は、差別される人間からするとダークヒーローのような存在であったとも言えるのではないか。ラストシーンは正にそれを助長させていると言えるだろう。

👉正直自分はキャンディマンシリーズを1~3観た訳ではないため、これと言った正当な評価は出来ない。だが作品単体で観ても、人種差別という問題に対して真摯に向き合う内容には心底考えさせられる。MLBではジャッキー・ロビンソンの付けていた”42”という背番号が全球団から永久欠番になっていたり、hiphopという歴史を辿っても人種差別の問題は出てくる。私たちは再度人種差別について考えを持つべきなのだろう。例え入りはどんな形であってもいいから。
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