たけちゃん

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のたけちゃんのレビュー・感想・評価

3.9
異色のホロコースト映画でした。
強制収容所でドイツの将校に架空のペルシャ語を教える事で生き延びる物語ですが、ドキドキしました。
設定が破天荒だが、逆にそれぐらいいろんな工作でしか生き延びれない環境であったという事。
本作は『Erfindung einer Sprache(直訳:言語の発明)』という短編小説に基づいて描かれているそうです。
物語の側面として、架空のペルシャ語を学ぶドイツ将校が哀れです。真面目でロマンチストな面を利用されます。そして、その他のドイツ兵たちの上下関係や恋愛の縺れなど、ナチス=極悪というレッテルではなく、ごく普通の人間性や現代の私たち同様、環境の中で生存競争している様子も描かれています。
対して、収容されているユダヤ人の人間の尊い部分を死守しようとする様には涙しました。
薄氷(うすらひ)を踏む、綱渡りのような主人公の心情をナウエル・ペレ・ビスカヤーが好演しています。