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アンダードッグ 前編のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)
4.0
監督 武正晴、脚本 足立紳、訳ありの負け犬ボクサーたち、三人の物語。映画は前編、後編の二本。他に、エピソードを増やした配信ドラマあり(ABEMA)。

アンダードッグは、"かませ犬"、転じて"負け犬"のこと。

特徴は、ボクシングそのもののシーンよりも、様々な底辺で生活する人たちの男と女、父と子、母と娘、コーチとボクサーなど、共感できる沢山のヒューマニティ・サブ・エピソードがあること。

yanaさん、梅ちゃんさん、Sankawa7さん、symaxさん、TFさんのレビューを見て視聴。レビュー、ありがとうございます。

7年前の2013年、後楽園ホールでランキング1位のボクサー、末永晃(森山未來)は日本ライト級タイトルマッチで勝てばチャンピオンで善戦していたが相手の一発に沈む。以来、酒やギャンブル好きの父を養うために、デリヘル嬢の送迎やサウナで仕事をしている。妻佳子(水川あさみ)は息子を連れて出ていくが、定期的に息子とファミレスで話をする。

大村龍太(北村匠海)は親に捨てられ児童養護施設で育ち、ささくれだった思春期を過ごした。施設に慰問で訪れたプロボクサーたちをシラけながら遠巻きに見ていると、一人のボクサーに挑発され悔しくてボクサーを目指すようになる。同じ養護施設の妻がおり、身ごもっている。

お笑いピン芸人の宮木瞬(勝地涼)。センスは皆無に等しく、彼のギャグには誰も笑わない。彼の父親は有名な俳優の宮木幸三郎(風間杜夫)で豪華マンションに息子を住まわせるも、芸人としての才能は無いから、芸能界は引退しろと諭す。パリピ族が勝手に部屋に遊びに来る宮木瞬は、一度でいいから、父に認められたいと思っていた。

社会の底辺、どん底にいても、愛する家族の為に、負け犬では終わりたくない、それぞれの男たち。一寸の虫にも五分の魂。

ボクシングの映画と言うと、邦画『きみの瞳が問いかけている』。チャールズ・チャップリンの『街の灯』にインスパイアされた韓国映画『ただ君だけ』を原作にしたラブロマンス。吉高由里子の見事な盲目の演技、横浜流星の彫刻のような肉体が印象的。

こちらの本作では、バラバラの三人の人生や、それに関わる人たちが中心の三人にも人生を変える、波乱万丈の展開になります。
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