よしまる

シャレードのよしまるのレビュー・感想・評価

シャレード(1963年製作の映画)
4.0
 映画「オードリーヘプバーン」公開記念レビューその2。

 ヘンリーマンシーニのテーマソングとカラフルなグラフィック。007のガンバレルシークエンス🔫を発明したモーリス・ビンダーによるオープニングにまず心を奪われるぐるぐる🌀🌀

 このイントロダクションで、本作がちょっと小粋なオシャレ映画ですよというのがわかり、オードリーが煌びやかな衣装の数々…代名詞ともなるジバンシイのデザインをもって体現してくれる。とりあえず、それを観るだけでも値打ちものだ。

 公開当時「ヒッチコックがこれまでに作ったことがない最高のヒッチコック映画」と呼ばれたそうで、これはヒッチコックにとっては屈辱しかないんじゃないかと心配にもなるけれど、言いたいことはわかるw
 手の込んだプロットやどんでん返し、粋なセリフ回しや良シーン連発なのにオスカーには音楽しか引っかからず、でも人々の記憶に残る大ヒット作、てところもヒッチコックぽい。

 またその理由の一つには、主演がケーリーグラントであることも挙げられるだろう。オードリーが既に30オーバーなのに、さらに25歳も上の初老が恋のお相手とはこれいかに。
 グラントはオードリーとの共演に際し以前「昼下がりの情事」でオファーを断っているにもかかわらず、6年後なぜ今度は承諾したのか謎。おかげで世間から歳上のセクハラと思われるのを回避するため、あえてオードリー側から迫る設定に改変したとのこと。かと言って観ている間じゅう、なぜオードリーがこんな爺さんに惚れてんの??という疑問が付きまとうことになってしまった。

 それでも「キスは医者に止められててね」なんて平気で言っちゃうまさしくヒッチコックふうの色男ぶりで、オレンジを身体で挟むという現代で言うところのザ・セクハラゲームや、実は老いた体型を隠したかったという着衣のままシャワーを浴びるシーンは傑作で、やはりさすがグラント!というしかない納得のシーンが満もてんこ盛りだ。

 荒野の七人を観てオードリーが推薦したジェームズコバーン、日本でも人気の高いジョージケネディにウォルターマッソーと、いずれも「コメディとサスペンスの両刀使い」が揃っているのがツボw もちろん思う存分脇役ぶりを発揮してくれていて、作品に厚みを出している。

 オードリーとは「パリの恋人」(レビュー済み)以来2度目となるスタンリードーネン監督、エキセントリックなカメラとテンポの良さでまったく退屈することなく一気に観れる。脂の乗ったオードリー34歳のファッショニスタぶりを堪能するなら、まずこの1本❗️