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RUN/ランのkuuのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.8
『RUN/ラン』
原題Run.
映倫区分G.
製作年2020年。上映時間90分。

PC画面上でカタカタ・ハラハラドラマが展開するちゅう新機軸で注目を集めたサスペンススリラー『search サーチ』のアニーシュ・チャガンティ監督が、母ちゃんの娘への歪んだ愛情の暴走を描いたアメリカンサイコスリラー。
クロエ役をオーディションで抜擢された新人女優キーラ・アレン、彼女は、実生活で2014年から車椅子を使用していて、製作者は、障害者の女優をキャストしたいと考えてたそうで、彼らの望むキャスティングになったそうです。ハリウッドが障害を持ってる俳優をキャストすることはめったにない。
母ちゃんダイアン役をドラマシリーズの『アメリカン・ホラー・ストーリー』(シーズンは『カルト』まで既観)のサラ・ポールソンがそれぞれ演じる。

郊外の一軒家で暮らすクロエは、低体重児で出生したこともあって、複数の病気(糖尿病、不整脈、鉄過剰症など)を抱えており、足の麻痺のために車椅子での生活を余儀なくされていた。
しか~し、前向きで好奇心旺盛な彼女は地元の大学への進学を望み、自立しようとしていた。
ある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母ちゃんダイアンに不信感を抱き始める。
そして、クロエの懸命な調査により、ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑色のカプセルが、けっして人間が服用してはならない薬であるということが判明してしまう。

ホームスクール(自宅で学習して、正規の学校教育に代える教育)で勉強に励むティーンエイジャーが、母ちゃんが自分に隠し事をしているのではないかと疑い始める。
これだけでも個人的には十分に面白いプロットです。
そして、アニーシュ・チャガンティの手が加えれば(『search サーチ』はかなりハマった)、小生の好奇心とヘタレ心配心を刺激すんのは間違いないやろと視聴。
Huluでの爆発的な再生回数を見れば、今作品は『search サーチ』よりも人気があるんかな。
せや、実際、私的に今作品は『search サーチ』よか上を行く水準に達していないとは感じたかな。
それでもこれは良い映画は変わりないけど。
アニーシュ・チャガンティとセヴ・オハニアンのコンビは、説得力のあるストーリーを作る方法を知ってるように感じる。
作中の多くの段階で、次に何が起こるのか10代に負けぬ好奇心旺盛で知りたくなりました。
今作品はジプシー・ローズ・ブランチャーディ事件を基にしてるそうですが、同じ様に本事件を扱ったドキュメンタリー『Mommy Dead and dear』てのよりは、詩的で柔らかくなってるかな。
また、比べてばかりになりますが、『search サーチ』の方が最後まで謎とひねりで埋め尽くしたし、今作品を圧倒してるが、今作品の設定は、何が起こるかわかっていても、それがどのように展開するかが謎であると云う様なモンではない。
そこが苦しかったかな、期待していただけに。
せや、最終的には良い映画やったなぁとは感じてます。
この物語の輝いているんは演技かな。サラ・ポールソンは、前述のようにドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』で注目されていますが、彼女はホラー/スリラー映画が似合ってる(ドラマ『ラチェッド』でも感じたかな)。
彼女には説得力があるし、脚本上、彼女との間に何が起こるんか、わかってしまうんが難かな。
キーラ・アレンは、初の長編映画で素晴らしい演技を見せてました。
今作品を観てる側は、主に彼女とずっとそばを傍で見てるし(視聴してんのやし当然やけど)、つながり合ってるような錯覚すら感じた。
このような健康問題を演じることは、俳優にとって難しいことやと思う。
彼女はそれを簡単にこなしているように見える。
スリラーとしてはメチャ面白く、良い作品だと思います。
レビューは少し寛大かもしれへんけど、この作品が優れた映画製作を代表していないというわけじゃないかな。

余談ながら、母ちゃんが診断されるであろう心理的な障害てのは、以前は代理ミュンヒハウゼン症候群と呼ばれてた、《精神医学》他者に負わせる作為症、FDIA-(Factitious disorder imposed on another )と呼ばれてて、歴史的には代理ミュンヒハウゼン症候群(MSbP)として知られてる。
比較的頻度の低い心理的問題であると思われることと、診断が非常に難しいこともあって、診断されることは非常に稀。
一般的には、親の投薬や毒物の投与によって引き起こされたと思われる医学的症状が改善するかどうかを確認するために、子供を数週間親から引き離す必要がある。
虐待の確かな証拠がない場合、親の親権を停止することは非常に困難やし厄介なモンです。
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